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神域への道145

 修得したから使用してみる。それはいいが、いきなり離れた場所と繋げると何が起きるか分からないので、数歩先と繋げてみる。

 魔法に関しては問題なく修得しているので、発動しないとか暴発するとかはないだろう。

 倉庫の隅の少し広い場所でヒヅキは2ヵ所の空間を繋げる魔法を行使してみる。行使する指定先は、目の前と3歩ほど先の空間。

(うーん、分かっていた事だが、これは転移魔法よりも難しい)

 魔力消費量に関してはそこまで多くはないようだが、それも実際に使用してみなければ何とも言えない。

 魔法の発動や制御に関しては、転移魔法ですら簡単に思えそうなほど。というより、これは個人で行使するような魔法ではない気もしてきた。

 それでも2点ともに視界内で行使するので、まだ何とかなりそう。

 そうして行使してみると、魔力消費量は大したことないが、頭が痛くなってくる。それに、空間を繋げている間もそれを維持するのに頭を使う。

 あまり長く行使しているとどうにかなってしまいそうだったので、ヒヅキはさっさと検証を終わらせる事にした。

 まずは目の前に現れた、人が二人は並んで通れそうな大きさの楕円に切り取られた陽炎のような空間の中に入る。そうすると、3歩先にも在った同様の空間からヒヅキが出てくる。

『……なるほど。空間を移動する際に魔力を消費するのか。その際の消費量が一定でなかった場合は魔力消費量は多いのかもしれないな』

 陽炎のように揺らぐその空間を見詰めながらヒヅキはそう思う。しかし、単純にヒヅキだけが移動するのであれば、転移魔法よりも消費魔力量が圧倒的に少なかった。

(それでもこの頭の痛さは流石にキツイな)

 今にも倒れるか頭が割れてしまいそうな痛さの原因は、目の前の空間を繋げる魔法を制御し続けているから。そのあまりにも緻密で膨大な情報量に、ヒヅキは苦しげに顔を歪める。

 それだけに、これは気軽に使えないなと思いつつ、であれば今の内に出来る検証はさっさと済ませてしまおうと背嚢を下ろして空間に投げ込んだ。

 背嚢がヒヅキが入った方の空間から出てきたのを確認した後、ヒヅキは続いて長剣も空間に放り込む。

 長剣が向こう側から出てきたのを確認したら、続いて空間収納から取り出した水飲み用の容器も放り込む。そうした後、容器が向こう側から出てきたところでヒヅキは魔法を解除した。

 ヒヅキは頭を抑えながらも、空間に放り込んだ物を回収していく。

 全て回収を終えると、ヒヅキは疲れたように息を吐き出しながらその場に座って休憩する。

『どうやらこの魔法の魔力消費量は転移魔法と同じく、空間を通る物体の質量次第らしい。それでも転移魔法よりは消費する魔力量がかなり少ない。もっとも、これは制御し続けるのが大変だから、個人で使用する魔法じゃない気がする』

 それこそ、倉庫の扉のように魔法陣で固定して使用する魔法なのだろう。もしくは制御する部分を分散させて複数人で連携して魔法を行使させるか。

 なんにせよ空間を繋げる魔法は、魔力消費量ではなく制御が大変な魔法というのがよく分かった。

 思い出してみても、よく無事だったなとヒヅキは自身の丈夫さに感心したほど。一歩間違えれば脳が焼き切れていたかもしれない。

 そんな疲労のせいでヒヅキは休憩を余儀なくされた。今はそれで問題ないが、これを今度転移魔法代わりにしようとは、いくら魔力消費量が少なかろうと到底思えない。それこそ数を仕方なく遠方に移動させなければならないとかでなければ使用しないだろう。

(いや、遠方は無理だな。視認出来る範囲だけでも死にそうなのに、無理をしてもここから避難所までの距離ぐらいが俺にはギリギリだろう)

 この魔法は封印だなと自身に戒め、ヒヅキは魔力水を飲む。飲料用の容器は実験に使用したので、魔力水を飲む前に魔力水で洗った。

 そうして休憩したところで、避難所に戻る。

『この後どうしようか?』

 避難所と倉庫はもう調べたので、他にこの場でやる事もない。この場であと調べていないのは井戸の底ぐらいだろうか。

 そう思うと、ヒヅキの視線が井戸の在る方角に動く。井戸の底も気になると言えば気になる。

『井戸の底を調べますか?』

 ヒヅキの視線の意味を察したフォルトゥナは、ヒヅキにそう問い掛ける。

 それを受けて思案したヒヅキは、やはり気になるのか、周囲は森ばかりだしとその提案に乗る事にした。

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