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神域への道140

 地下2階も同じ造りであった。ヒヅキ達は広間を調べた後は更に下へと下りていく。

『それにしても、見た目以上に大きな場所だね』

 地上に建っていた建物は、見た目の広さだけなら少し大きな平屋である。しかし中に入ってみれば、地下が何階も続いている。

 それだけでも、この建物を造った者達はかなりの技術を有していたという事が分かる。

 地下3階、地下4階と見ていくも、これほどまでに地下深くまで続く建物は、遺跡を除けばほとんど存在しないだろう。他だと最近調べた研究施設で見たが、もしかしたら同じ時代の技術なのかもしれない。

 そんな事を考えながら調べていると、地下5階で奥へと続く道を見つけた。

 何が在るのだろうかと思いながらその道を進むと、直ぐにかなり広い場所に出る。大きな棚が整然と並ぶそこは、まさしく倉庫のようだった。しかし、棚に何かが収められているという事はない。

 入り口近くの壁際には大きな水瓶も並んでいたが、中身は空っぽだった。

『ここは食糧庫だったのだろうか?』

 それを見て、ヒヅキはそう思う。

『それに、この水瓶は魔法道具だよね?』

 水瓶は陶器のような感じではあるが、触れるとそれは違うのだと分かる。それに魔力回路が組み込まれているのも。

 しかし、それは複雑な回路ではないようで、ヒヅキが軽く調べただけで直ぐに何の魔法道具なのかが判明する。

『……魔力回路の終点は刻まれた魔法陣なのか。これは特殊な魔法道具なのか、それともこれが造られた時にはこれが主流だったのか。それにしても、魔力を流せば底に組み込まれている魔法陣から水が出てくる水瓶ね。これは魔法道具と言えるのだろうか?』

 ヒヅキが育った世界でも、魔法陣が組み込まれた魔法道具というのは存在していた。というよりも、魔法道具というのは魔力回路で陣を描いて魔法を起動させるというものだったので、魔法道具とは陣を起動させる物といった方が正しい。

 厳密には陣と魔法陣はやや異なるが、大別すれば似たようなモノだ。

 しかし、直接陣を刻み込む魔法道具は存在しない。研究ぐらいはされていたかもしれないが、商品として並ぶ事はなかった。それは、魔法道具と呼べるか微妙なところだったからかもしれない。

 それだけに、魔法陣が直接組み込まれたモノというのは新鮮ではあったが、しかし内容が、魔力回路を通して底に刻まれた魔法陣に魔力を注ぎ、それで魔法陣を起動させるだけというのはあまりにも原始的とも言えた。

『結局原理としては、魔法陣を起動させる時と同じだしな』

 起動する者が直接魔法陣に魔力を供給するか、間に魔力回路を介在させるかの違いでしかない。一応道具を使用して魔法を起動させるので魔法道具と呼んでも間違ってはいないが、ヒヅキはなんとも微妙な気持ちになった。

『その方が効率的だとは思うが、うーむ』

 もっとも、これを魔法道具と呼んでいたのかどうかは分からないので、結局はヒヅキの中でそれをどう処理するかでしかないが。

 その間にフォルトゥナは棚の方を調べていたようで、ヒヅキが僅かな間悩んだ後に、まぁいいかと思考を放り投げたところでその結果を報告する。

『ヒヅキ様。こちらの棚は置いた物の鮮度をある程度保つような魔法が組み込まれていたようです。周囲から魔力を吸収していたようで、今でも起動しています』

 フォルトゥナのその報告に、ヒヅキの興味はそちらに移る。

『もっとも、棚が大きいうえに数があるので、その効力はかなり弱いものですが』

『ふむ。でも、今でも動いている魔法道具は貴重だね。大きいからあの部屋を保存していた魔法道具のように気軽に持ち出せないのは残念だけれども』

 近くの棚を調べながら、ヒヅキは小さく息を吐き出す。

 その棚は自動で起動し続けるという以外には然して珍しくない魔法道具ではあったが、こんな場所に用意されているというのは少し気になった。

 そもそもこの建物は何なのか、ヒヅキは棚を調べながら改めてその事を考えるのだった。

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