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神域への道138

 森の中を進む。何処まで行っても木々が生い茂っているばかり。

 途中途中でフォルトゥナが木に登って周囲を確認するも、相変わらず森しか確認出来ないらしい。

 それでもヒヅキ達は真っ直ぐ進むしかないので、足を止める事は無い。

『やはり何処に行っても生き物は居ないね』

 頭上には木々が生い茂り、足下には草が生えているが、それ以外には何もなかった。風も吹いていないのか葉擦れの音もない。

 停滞した世界。そんな印象が強い場所だが、今までも似たような場所が続いていたので、それはそこまで気にはならない。だが、肌で感じる雰囲気だけはやけに寂しげに感じられた。

『おそらく今まで同様に模倣だとは思うが、ここはどういった世界なのだろうか?』

 そんな雰囲気のせいだろう。ヒヅキは現在居る空間の基となった世界が妙に気になった。

『分かりません。ですが、何処まで行っても森ばかりなので、原生的な世界なのではないかと。植物しか存在しないのは気になりますが、今までを思えばそれもおかしくはないですし』

 フォルトゥナの言葉に、ヒヅキは少し考えてから同意するとばかりに頷く。

 道中で何度もフォルトゥナに木の上から確認してもらっているが、それでも地平の彼方まで森が続いているだけ。それにどの木も背丈が高いので、森は上にも広い。

 なので森以外は現在確認出来ていないが、同時に生き物も確認出来ていない。それが模倣した世界だからなのか、それとも本来の世界通りなのかは不明。

(仮に本来の世界もこんな世界だとしたら……)

 そこまで考えたところで、ヒヅキはひとつの可能性が思い浮かぶ。

『もしかして、これが滅んだ世界なのだろうか? 生き物はスキアに回収された後で、残っているのは植物ばかり』

 そうヒヅキは口にしたが、しかし直ぐに小さく首を振る。

『だがそうなると、森以外に自然が無いというのもおかしな事。河に山など何かしらあってもいいと思うが……特に山は遠目でも見つかりそうなものだけれども』

 森を形成している木々は背が高い。だが、山はそれ以上に高いので、木々に遮られるという事はないだろう。という事は、近くに山は存在しないと考えられる。

『そうですね。もっと遠くへ行けば山が見えるかもしれません』

『まぁ、今は何より前に進むしかないか』

『はい』

 ここが何処か分からないが、とにかく景色が変わる場所を探すのが先決とばかりに、ヒヅキ達は歩く速度を僅かに上げた。一応通過した木々に目印を付けてはいるが、明確な目印がそろそろ欲しいところ。

 森の中は明るく地面が固いので歩きやすいが、やはり森の中というのは似た景色が多い。細かくみれば違うのだが、ここの森は木の背丈が高い為に、ヒヅキの視線の高さだと、天を支える柱のように太い幹が並ぶばかり。

 それからも何度か休憩を挿みながらも移動していくと、とうとうフォルトゥナが木の上から何かを見つけた。といっても、開けた場所に何か在るという程度だが。

『あれはおそらく何かの建物ではないかと感じましたが、木々の影になっていてあまり全容は窺えませんでした』

『そっか。でも、今は木以外のモノが在ったのならそれだけで十分だよ。開けた場所が在るというだけでも朗報だし』

 時間の概念が無いのか、常に明るい森の中で体感的には何日も何日も歩いていたので、そろそろ森も見飽きていた。そこでのフォルトゥナからの報告に、ヒヅキは嬉々としてその開けた場所が在るという方角へと進路を修正したのだった。

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