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神域への道137

 程なくして木に登っていたフォルトゥナが降りてくる。

 落下するような速度でヒヅキの前に降り立ったフォルトゥナは、何事もなく樹上から目にした光景を報告する。といっても、全周が何処までも続く広大な森だったようだが。

 それでも今後の方針は決めねばならないので、ヒヅキはフォルトゥナに山はなかったかとか、開けた場所はなかったかとか幾つか質問をしてみたが、結果はやはり森が広がっているだけだった。

 何処までも続く広大な森。生き物は居ないようだが、幸い木の実ぐらいはあるようで、生きていく分には問題なさそうである。

 ただ、方針決定の材料が何も無い。また適当な方向に移動して森の端を目指すしかないだろうかとヒヅキは考え、それをフォルトゥナに相談してみる。

 フォルトゥナもこれといった指針が無いようだったので、ヒヅキ達は適当な方向に進む事にした。

『さて、そうなるとどの方向に進むか』

 ヒヅキは周囲を見回すも、何処を向いても木ばかり。しょうがないので、近くに落ちていた真っ直ぐな枝を拾って地面に立ててみた。

『これが倒れた方向に進むとしよう』

 そう言ってヒヅキはフォルトゥナの方に視線を向けるが、フォルトゥナも異論はないようだ。

 ヒヅキは慎重に枝を直立させると、そっと上で枝を抑えていた指を離す。

『それじゃ、向こうに行くか』

 一瞬動きを止めた枝だったが、そのままゆっくりと倒れた。その枝が倒れた方向を指し示した後、ヒヅキ達は移動を始める。

 念の為に木に目印を刻みながらヒヅキ達は森の中を進んでいく。

 何処まで行っても森が続いているが、それは最初から分かっていた事。それでも同じ木ばかりではないので、それが普通だというのに少しだけ新鮮に感じた。

 細かくみれば、同じ種類の木ばかりでもないので、それもまた新鮮に感じる理由だろう。

 時折木の実を収穫してみるが、どれもヒヅキの記憶には無い物だった。ヒヅキがフォルトゥナに尋ねてみると、幾つかは不明だが、大半はエルフの国が在った森の奥深くに生っていた木の実に似ているという事だった。もっとも、完全に同じという訳ではないようだが。

 それでもかなり似ているようなので、亜種ではないかと推測された。どちらが亜種かはどうでもいい話だ。

 ヒヅキは休憩がてらにその木の実を食べてみる事にする。フォルトゥナの指示に従って木の実の殻を外したり、中にあった毛のようなものを処理したりして、似たような木の実の処理を終える。

 それを先にフォルトゥナが食した後、フォルトゥナが問題ないと判断してからヒヅキが食する。二人の記憶にない木の実はそこら辺に捨てておいた。食料に困っている訳ではないので、今のところはそこまで冒険しなくてもいい。

 それを言えば似たような木の実もなのだが、その辺りは好奇心に負けたようだ。

 食料となる木の実も分かったところで、休憩を終えたヒヅキ達は、ほどほどに木の実を確保しつつ先へと進む。

『それにしても、ここはあの研究施設の本来の出口とは違うのだろうな』

『おそらくは。あの研究施設の入り口が在った空間とここは別だと考えられます』

『そうだろうね。そうなると、進んだのか迷ったのか』

 さてどうだろうかとヒヅキは考えるも、他に道は無いので今更考えるだけ無駄であろう。それよりもどうやって女性達と合流するかを考えなければならない。

『女性や英雄達は近くに居ないよね?』

『はい。誰も感知出来ません』

『だよね』

 一応そう訊いてみたヒヅキだが、答えは予想通り。現在地もおそらくあの無限に続く廊下の建物が在った空間と同じ場所だとは考えられるが、それもあくまで推測でしかない。

 その辺りも考えていかないとなとヒヅキは思うも、まずはこの空間に森以外が存在するのかどうかを確認するのが先であった。

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