神域への道130
とりあえず、分かった事をヒヅキは頭の中で整理していく。その間もフォルトゥナは部屋の中を調べているようだ。
(全てではないかもしれないが、ここも含めてあの建物は人造神関連の場所が集められているのは間違いないだろう。という事は、やはりあの建物の中心は人造神。一連の部屋はその研究課程の一部を再現した部屋という事かな? それが何の為になのかはまだ不明だし、あの黒髪の人物もまた不明なままではあるが、とりあえず何か調べるにしても人造神というのが重要なのは分かった)
現在ヒヅキ達が調べている研究施設は、日誌の初期の頃の研究施設だろうと容易に想像出来る。おそらく地下に引っ越したという記述が日誌に書かれた前後ぐらいだろう。
(という事は、まだここには人造神の素体となる存在は居なかった?)
あくまでヒヅキが日誌を読んだり図解を推察したうえでの推測だが、人造神を創るにはまず素体となる人物が必要になってくる。それからその人物を色々と調整していき、人造神として作り変えていくという過程を踏む。
日誌に読むと、引っ越しを終えた後に必要なものが揃ったと書かれているので、その記述を読む限り、準備段階のこの研究施設には人造神の素体となる人物が居ないという可能性が高くなってくる。
もっとも、正確な事は不明なので、断言までは出来ないが。
ヒヅキは探索した研究所を思い出し、仮に素体を連れてきたとしたら、何処にその素体を連れてくるかと考えてみる。
(日記を読む限り、研究員や協力者ではなく実験材料の1つという扱いのようだったし、という事は研究素材を居住区画には置かないだろう。ならば、あの透明な壁の向こう側か、その上の階の展示場のような部屋しかないな。1階はそれっぽい研究設備とか資料室とか表向きな感じがしたしな)
そこまで考えたヒヅキは、まだ見つけていない設備や部屋を思い出す。
(そういえばあの培養装置は何処だろうか? ここに在ると思うのだが、もしかしたら別に研究施設でも在るのだろうか? それに、拷問部屋とか文字だらけの部屋とか他にも色々見つけていないな。まぁ、仮に全ての部屋が人造神に関連しているのだととしても、全ての部屋がここの中の部屋という訳ではないだろうが)
そう頭の中で纏めると、思考を一旦やめてフォルトゥナの方に視線を向ける。
視線の先では、散らかっている資料を纏めながらも床や家具や壁を調べているフォルトゥナの姿があった。そんな中で一人だけ考えていてもしょうがないので、ヒヅキも部屋の中を調べていく。
部屋自体はそこまで広くはないのだが、散らかっているのでその確認や片付けに時間が掛かる。
それ以外にも、床や壁に何か隠し部屋みたいのはないか確認したり、ついでに天井の方も調べたり、更には家具に何か隠されていないかと探してみたりと意外とやる事は多い。感知魔法も完全ではないので、手が届く範囲なら自分の手でも直接調べてみた方が確実だ。
そうして一通り調べたところで部屋を出る。まだ全ては調べ終えていないので、ヒヅキ達は引き続き地下4階を調べていく。
残りは後少しだったので、程なくして全てを調べ終えた。
『培養装置は無かったね』
『関連施設というだけなのかもしれません』
『それか見落としていたか』
上階に戻りながら、ヒヅキ達は何処かに見落とした場所はなかったかと話し合う。
その結果、地下1階の展示場内はまだ全て調べていなかったなと思ったが、その後に地下1階を調べてみたが、結局何も見つからなかった。




