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神域への道128

 透明な壁の部屋を調べ終わったヒヅキは、フォルトゥナに扉を開けてもらって機具の置いてある部屋に戻る。

『何か分かった?』

 機具の在る部屋に戻ったヒヅキは、丁度良いと思い、機具を操作して扉を閉めたフォルトゥナに問い掛けた。

『どうやら、これはまだ準備段階だったようです。調べた限りでは、一応調整は終わっていたとは存じますが』

『ふむ。なるほど。という事は、ここは本格的に運用する前の状態という事なのかな?』

『おそらくですが』

『それでもあの資料の量なのか……いや、それはいいとして、しかしここはあの建物に在った部屋と関係していると思うのだが?』

 ヒヅキは使用感の在った部屋を思い出す。石像の在った部屋だけではなく、培養装置らしき機具も使用されていたような気がした。

『その推察通りだとは存じます。ですので、おそらくここはあの部屋よりも前の状態なのではないかと』

『なるほど。ここはこの状態で終わったのではなく、初期の頃のこの場所を再現しているという事か』

『はい。その可能性は高いかと』

 フォルトゥナの言葉に、ヒヅキは納得しつつも考える。それに何の意味があるのだろうかと。

『つまり、この頃を知る事が何かしら意味があるという事なのだろうか?』

『もしくは、この空間を創った者にとって、この瞬間が忘れられないもしくは忘れてはならない何かだったか』

『なるほど。そうも考えられるか』

 価値を見出す主体がヒヅキ達ではなく創った者であれば、ヒヅキ達ではそれに何の意味があるのかは分からない。それにもしそうだとすると、下手に触るのは危険かもしれない。

(まぁ、それも今更ではあるが)

 今までそこそこ力業で解決しているので、今更それを恐れてもしょうがない。仮に何も無いのが運が良かったからだとしても、必要であればヒヅキはこれからも同じ事をするだろう。

『それで、それをまだ調べる? それとも下の階に行く?』

『粗方調べ終えたと存じますので、先へと進んでも問題ありません』

 機具を操作する手を止めたフォルトゥナは、ヒヅキの方を向いて軽く頭を下げる。

『そう。なら先に進もうか』

 フォルトゥナの言葉に頷いたヒヅキは、そのまま階下へと延びる階段の方へと歩みを進める。

 そのまま階下に下りると、そこには幾つもの扉が左右に並ぶ長い廊下が在った。

『うーん……もしかしてここは居住区だったのかな?』

 警戒しつつも近くの扉を開くと、中には寝具や箪笥など生活に必要そうな家具が置かれていた。

 広さは一人暮らしなら問題ない程度。ここの使用者が研究者であったならば、寝起き出来れば問題ないだろうからそれでも十分に広いのだろう。

 それから幾つか扉を開いて中を確認してみると、食堂や倉庫らしき広い空間も確認出来た。それでも多くは個室のようだったので、やはり研究者や関係者が寝泊まりする場所で間違いないだろう。

 廊下も直線が多く、部屋が並んでいる部分を囲むように伸びている。広い場所なので部屋数は多いが、一体どれぐらいの人が暮らす予定だったのか。

 そうして探索している内に更に下へと続く道を発見したので試しに下りてみると、今度は1部屋が広い居住区のような場所だった。

 もしかしたらこちらは身体の大きな種族用なのかもしれないと、置いてある家具を見て思いつつ、ヒヅキは探索の続きをするべく上の居住区に戻った。

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