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神域への道119

 壁の前で休憩したヒヅキ達は、次は崖下を目指す事にする。ヒヅキの計画は既にフォルトゥナに話している。

『階段を造れば問題ないだろう』

 崖を魔法で削って、人一人が問題なく通れるぐらいの通路と段を造り出す。階段を造っておけば、崖の上下の行き来は多少は楽になるだろう。

 まずは1段目を造ったところで、そのうえに乗る。そのまま2段目を造ってその上に乗ると、次は3段目を造った。そうして1段ずつ段を造りながら下りていくと、ちゃんとした階段の出来上がりという訳だ。

 階段を一気に造る事も可能だったが、その場合は正確に位置関係を把握しなければならないので、難度が跳ね上がる。それに、失敗すると別の場所でやり直さなければ修正出来ないかもしれないので、今回は確実性を取ったという形になる。

 そうして、階段を造りながらゆっくりと崖を下って崖底に到着すると、ヒヅキは途中から浮かばせていた複数の光球を周囲に散らす。

『ふむ。ここは見事に真っ暗だね。これでよく木が生えているものだよ』

 上を向いても空が見えない崖の底。おそらく崖の途中で霧か何かが覆っているのだろう。階段を造りながら下りた時は何も感じなかったので、結界のようなものではなさそうだが。

 光球が照らす周囲に目を向けると、大きな岩や木が目に入る。基本は岩石地帯のようで、その為に木が妙に周囲から浮いて見えた。

 感知魔法で周辺を調べた限り危険そうな物はなさそうだったので、周囲に光球を浮かせたまま崖底を歩いてみる。

 大小様々な石がそこら中に転がっているので、足下には気をつけなければならない。少し離れたところに小規模な森が見えるが、ヒヅキはそちらはとりあえず後回しにするようだ。

『この岩は崖の一部が崩れたのだろうか?』

 自身の身長の倍以上の大きな岩の前で足を止めたヒヅキは、岩の上を見上げたり左右を見回したりした後、近くの崖へと視線を向けた。しかし、肉眼で確認出来る場所には崩れたような場所は見当たらない。余程上から落ちてきたのだろう。

 そこで興味を失ったヒヅキは、他の場所へと歩いていく。ついでに森の方にも視線を向けて、森の大きさも確認していく。

『崖と崖の間は結構が離れていたからな』

 仮にその幅いっぱいに森が拡がっていても、大規模というほどではない。それでも、誰かが住むとなると十分過ぎる広さだろう。

『もしかしたら、ここに研究所が在ったかもしれないし』

 崖の上下移動には転移魔法陣でも設置すれば問題ないだろうから、崖下というのはそこまで不便ではないだろう。

 この基となった世界に転移魔法陣かそれに類するものが在ったのかは知らないが、おそらくヒヅキの居た世界よりも遥かに文明が進んでいたと思われるので、崖の上下移動ぐらいは楽にこなす方法が在ってもおかしくはない。

 そう考えると、わざわざ降りなければならない崖底ならば、やはり研究施設の在り処としては最適なような気になってくる。

(それに……)

 ヒヅキは森を形成している木に注目すると、研究施設が崖底に在る可能性は思っていたよりも高いのではないかと内心で期待するのだった。

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