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神域への道113

 廊下側から開けた時同様に、扉に何か仕掛けがあるという事はなさそうだったので、ヒヅキは扉を開けてみる。

『……ふむ? 扉の先は廊下、だったと思うのだが』

 扉を開けたヒヅキは、やや困惑したように疑問の声をあげる。扉の先は見慣れた廊下ではなく、周囲と変わらず森であった。

 一瞬、開ける扉を間違えただろうかとヒヅキは思ったが、他に扉が在るというのは知らない。壁は何処までも壁であったはずなのだから。

 では、目の前の光景は何だろうかと思う。まるで壁に映っていた映像そのままのような光景が広がっているのだから。

『本当にこの壁はただの透明な板だったのだろうか?』

 そう疑問を口にするも、そもそもヒヅキは廊下からこの空間に入ったのだ。そして、たとえ別の扉だったとしても、崩れた建物の近くの壁の向こう側には廊下があるのは変わらない。はずだった。

 しかし、実際には目の前には森の続きが広がっているだけ。という事は、この空間に入った事で隔離されたのだろうかとヒヅキは思った。

『それとも、小石を持っているからなのか?』

 別の可能性としては、海で見つけた小石を持っているから先に進めるようになった、とも考えられる。その場合、別の方向の壁にも扉は存在するのか否かという疑問も生まれるが。

(まぁ、その辺りはこちらから外に出て回りこめば問題ないとして)

 今はそれよりも、壁の向こう側に出るかどうかを考えなければならない。まだ壁の内側も海ぐらいしかまともに調べていないので、調べる場所はかなり残っている。

(だからといって何かが見つかるとは限らないし、壁の向こう側の方が正解という可能性だってある。それに調べるとなると相応に時間が掛かるからな……)

 現在居る空間と廊下の在った建物の時間の進みが同じとは限らないが、既に現在の空間で結構な時間を過ごしている。もしも女性や英雄達が次に進む為に集まっていたら置いていかれる事になるかもしれない。

(それならそれでよくは……ないが、しょうがない)

 どうしようもないので諦める事は容易いが、だからといって何もしないというのは流石に怠惰に過ぎる。そう考えたヒヅキは、次の場所に続いているという可能性に懸けて壁の向こう側へと進む事にする。

(その前に、フォルトゥナの意見も聞かないとな)

 一人で行く訳ではないので、ヒヅキは壁の向こう側へと進もうと考えている事をフォルトゥナに話す。それにフォルトゥナが快諾すると、ヒヅキはフォルトゥナと一緒に壁の向こう側へと進んだ。

『うーん。何か変わったという感じはしないね』

『はい。あくまでも同じ森の中という事なのでしょう』

 扉の先に開けた場所に立ちながら、ヒヅキとフォルトゥナは周囲の様子を窺う。少し先に森が在るが、壁を越える前と大して変わらない。

 ヒヅキは1度扉を閉めて再び開けてみるが、それで扉の先が変わる事はなかった。

(扉が消えるという事もないようだ)

 もう1度扉を閉めた後、ヒヅキは扉の部分に触れる。それだけでは透明な壁が在るだけだが、感知してみれば確かにそこには扉が存在している。

 開けてみると、崩れた建物が少し先に在る空間。それは透明な壁越しにも確認出来るので、壁を行き来する分には問題ないらしい。

 まずそれを確かめたヒヅキは、周囲には何も無さそうなので、そのまま森の中へ入ってみる事にした。

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