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神域への道105

 家の中の造りは、木と石を組み合わせたもので、利便性よりも丈夫さに重点を置いたようなしっかりとしたものであった。

 それ故に、年代を感じるのに危うい感じは全くしない。調べる時もその辺りはあまり気にしなかったほど。

『ふむ。井戸が枯れる程に古いというのに、中はこのまま住めそうだな。あの井戸は元から水が無かったのか、それとも枯れたからこの家を放棄したのか』

 この家に人が居なくなってから年月が経ち、それで井戸が枯れたにしては家が奇麗過ぎた。いくら丈夫さを念頭に置いて建てたのだとしても、管理する者が居なくなった建物がそれほど長く保つとは思えなかった。外の環境も良いとは言えないのだから。

 その為、ヒヅキは掘ったはいいが元から井戸には水が無かったか、枯れたから家を放棄したかだと推察する。でなければ、まるで井戸だけが時が止まっていなかったかのようではないか。

 他は特に気になるモノは何も無かった。家財道具さえ残っていないのだからそれもしょうがない。強いて言えば、年代を感じさせる割には奇麗な家だなと思ったぐらい。この家はよほど住民に大切にされていたのだろう。

 建物の中も調べ終えた後、ヒヅキ達は折角だからと建物内で少し休憩してから外に出る。

『それにしても、この荒野は一体どこまで続いているのやら』

 建物から出て遠くに目を向けたヒヅキは、相変わらず先が見えない様子に小さく息を吐き出す。とはいえ、建物が1軒だけだが景色に変化があったので、この先は少しは変わってくるかもしれない。

 そんな事を考えつつも、ヒヅキ達は先へと進む。

 それからしばらく先へ進んでいると、ヒヅキはある事に気がつく。

『この辺りは草が生えているね』

 ちょこんとした小さなものが寂しげに生えているだけではあるが、それは確かに生えていた。今まではそんなモノすら生えていない荒れ地しかなかったので、これもまた変化なのだろう。

『という事は、今までの荒れ地とは違う荒れ地なのかな?』

 少し前まで歩いていたのが人為的に造られた可能性の在る荒れ地であったのに対して、こちらの荒れ地は自然に出来た荒れ地といったところだろうか。

 もしくは、今まで歩いていた荒れ地よりも造られたのが古い荒れ地か。どちらにせよ、今まで歩いていた荒れ地を造ったと思われる何かの範囲外にまで出られたという事に変わりはない。

『これまで荒野を直進してきた距離が最長の距離とは限らないとはいえ、一応何かの範囲の目安にはなるか』

 仮に何も無い荒野の形が円形だったとして、ヒヅキ達が通った道がその中心を通過した最長の距離ではない可能性の方が高いだろう。それでも、何かの影響範囲の目安にはなる。

(それでも広すぎるのだが。願わくば、あれが最短距離ではないようにとは思うが)

 最長距離であれば上々だとして、もしも最短距離であれば絶望的だろう。ヒヅキの全力の魔砲でも、あの距離を最短距離には出来ないのだから。

 もっとも、だとしてもそれはヒヅキでは、でしかない。戦うかどうかは分からないが、仮に戦うのだとしてもヒヅキ単独とは限らない。今でも隣にはフォルトゥナが居る訳だし、他にも合流出来れば女性や英雄達だって居るのだから。

 後は、もしもここで戦う事になった場合に女性や英雄達が間に合うのかどうかだが、その辺りは戦場が別の場所になる事を祈るしかない。

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