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神域への道103

 遠くを眺めながら荒野を移動することしばらく。塚も未だに確認出来ないが、それはいい。もしもこの場所があの建物の廊下並みに長いとしたら、まだ続くだろう。

(という事は、ここは部屋ではなく脇道だったという可能性も?)

 その可能性を考えたヒヅキは、あれは部屋に偽装した道だったのではないかと思い至る。であれば、この長さも理解は出来た。もっとも、屋内の道にしては色々広すぎるが。

 とはいえ、それで何か不都合があるという訳ではない。あの時は来た道を戻っている最中であったし、戻る道以外には他に進める道も無かった。部屋も全て消えていたのだから。

 問題はこれが道だとして、この道が何処に続いているのかだ。横道といえばその先は昇降機だったが、こんな場所の先に昇降機が在るとは思えない。仮に在ったとしても、それが何処に続いているというのか。

(……今代の神の御許とかな)

 昇降機の続く先、いやこの道の先に在る場所を考え、ヒヅキはそう思った。こんな広大で世界の終わりを示しているかのような場所の先なので、もしも本当に今代の神が居る場所に続いていても、ヒヅキには納得しかないだろう。

(そうなると、これをやったのが今代の神という可能性も高まるかも?)

 あくまで状況からの推測でしかないが、もしも今進んでいる荒野を造ったのが人造神だとしたら、その先に居るのはその人造神という可能性は低くはないだろう。そして同時に、道の先は今代の神の座所である可能性も十分に在る。

 ならばもう、それを同一の存在と考えるのもおかしくはない。無論、現段階では可能性のひとつでしかないのだが。

(仮にそうだとして、人造神についてもほとんど分かっていないからな。弱点のひとつでも分ればよかったが……いや、もしもそんなモノを見つけても信用は出来ないか)

 今はまだ仮想だが、敵の存在を思い浮かべ、何か対処法はないかと考える。しかし、その存在を示唆するモノは見つかっても、人造神という以外にそれが何かまでは分かっていない。まして弱点になりそうな情報など無かった。在っても信用出来なかっただろうが、それはそれだ。

 ヒヅキはどうしようかと思案するも、相手の強さが分からないので対処のしようもない。光の魔導を全力で使えば倒せるのであれば話は早いのだが、それもどうかは分からない。

 困ったものだとヒヅキが悩んでいると、地平の彼方に今まで見えていたモノとは別のモノが見えてくる。

『なんだあれ?』

 遠いうえに対象は比較的小さいようで、僅かしか確認出来ない。ただ、距離を考えれば造った塚にしては大きいようなので、別の何かだろう。という事は、ここは単純に広かっただけで始端と終端が繋がっているという訳ではなかったのかもしれない。

 地平の彼方を眺めながらもう少し距離を詰めてみると、それが家であるのが分かった。どうやら最初に見えていたのは煙突の先端だったらしい。

『こんな場所に家? あの辺りから荒野が終わるのかな?』

 ヒヅキはそう言葉にするも、地平の彼方を見回してみてもその家以外は何も無かった。

 とはいえ、行けば分かる事である。久しぶりの何も無い荒野以外の光景に、ヒヅキ達は若干足早に建物に近づいていく。

 少しして、ようやく地平の彼方に見えていた建物が近くに見えてくる。もう後少しという距離なので、細部までとは言わないがよく見えた。

 まず地面だが、どうやらこの辺りもまだ荒野であるらしく、荒れた地面が続いている。周囲には引き続き何も無いので、そのせいで無事な建物が酷く不自然に見えた。

 建物は平屋で、屋根はややくすんではいるが明るい赤色。白い壁は少し汚れが目立ち始めているが、見た限りでは壊れた場所は無さそうだった。

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