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神域への道100

 荒れ地に防水布を敷いて腰掛ける。いつも通りの休憩を取りながら、ヒヅキはふと思った。

(そういえば、ここの荒れ地は歩きやすいな)

 休憩をしてはいるが、別段疲れたという訳ではない。強いて言えば精神的に疲れたといったところだが、とりあえず一旦落ち着いて考えようかと思ったのは休憩の1番の理由であった。

 そうして休憩していると、周囲に何処までも広がる荒れ地がより目に入る。座っているので地面に近いというのも関係しているのだろう。

 そうした中で思い出したように考えたのが、それだった。どうもこの荒れ地は何も無いというだけではなく、均され過ぎているように思えた。それこそ、人工的に均したのではないかと思える程に。

 木々の件もあるので、あながちその考えはおかしな事ではないだろう。ただ、ヒヅキの個人的な見立てとしては均したというよりも、結果としてそうなったのではないかと思えてならなかった。

(鍬なんかで地面を掘り返した時に鍬が削った部分が均されるような、そんな味気ない感じがするんだよな)

 まるで荒れ地の上に在った土を何かで削り取ったかのようなとでも言えばいいのだろうか。荒れ地は自然界ではありえないぐらいには平らではあるのだが、しかしそこに何者かの意思のようなモノは感じられない。

 それ故にヒヅキは、計画的にこの地を均したのではなく、結果として平地になったのではないかと考えた。すぐ隣が森なだけに、もしかしたらここにもあの森が広がっていたという可能性もある。

 とはいえ、だ。もしもヒヅキの推測通りだったとしても、荒れ地はかなり広い。それこそ、何処まで行っても果てが見えないほどに。

 狭い範囲ならまだしも、それだけ広い場所が結果的に平らになったなど、一体何をすればそうなるというのか。

「………………」

 ヒヅキは考えてみたが、規模があまりにも大きすぎて答えが出ない。仮にヒヅキが命まで使った全力の魔砲を放ったとしても、こうまで広範囲になるかどうか。いや、範囲だけならばもしかしたらいくやもしれないが、それでも爆発ではこうも平らにはならない。

 大規模な爆発なので、爆心地を中心として出来るであろう半球状の底ならば平らに見えるかもしれないが、少なくともここは森から出た時から平らだった。森も底に存在しているというのであれば話は別だが、おそらくあれは平らになった場所の縁の方だろう。

 つまり、ヒヅキの魔砲では範囲はともかく、こうも奇麗に平らな土地には出来ないという事になる。

(何かが通り抜けていったのだとは思うのだが……)

 そこまでは推測出来るのだが、しかしそれは何かと考えると行き詰ってしまう。

 困ったヒヅキはフォルトゥナに相談してみる。一人で考える必要も別にないのだから。

『そうですね……』

 ヒヅキの話を聞いたフォルトゥナは、周囲を見回しながら思案する。それでヒヅキの言う事も一理あるなと思うが、だからといって答えが出るものではない。

『隣の森とこの荒れ地が同じ世界で同じ配置だったと仮定して考えますと、やはり森の中で考えた通りに人造神創造の計画が関わっているのかもしれません』

『でも、そうなるとこれは何の実験だったのだろう?』

 ただ広いだけの荒野。そんなモノが何かの計画になるのかと、ヒヅキは首を捻る。

『……もしかしましたら、人造神とやらの性能を確かめたのかもしれません』

『ふむ。もしもこれが1度の実験の結果なのだとしたら、それは確かに神と呼べるのかもしれないね』

 途方もない範囲と火力を有した存在。そんな危険な存在など神以外にどう評していいのか分からず、ヒヅキはなるほどと頷く。

 だがそうなると、俄然その人造神の行方が気になってくる。そんな存在が簡単に倒されるとは思えないし、仮にも神を目指していたのだから短命という訳ではないだろう。

 もしも何者かに斃されたのではないのだとしたら、やはり今代の神の正体は人造神だったという可能性が高くなってくる。

 今までの話でも人造神関連と思われるモノは多かった。そこまでくると、ここの建物は人造神関連を集めた建物なのではないか。という推測までヒヅキの頭に浮かんできたのだった。

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