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神域への道99

 ヒヅキはフォルトゥナに自身が気づいた事と、その事柄から考えられる事についてフォルトゥナに話していく。

 それを聞き終えたフォルトゥナは、少し考えた後に口を開く。

『現時点では情報が全く無いので断言は出来ませんが、もしも現在が今まで建物を探索した事により得られた情報の延長線上にあるのだと仮定しましたら、木の複製というのも人造神創造計画の一端なのかもしれません』

 フォルトゥナの推測を聞いて、ヒヅキもなるほどと思う。

 広いうえに周囲の環境のせいで忘れがちだが、現在地はおそらくまだ建物の内部だ。であれば、ここも建物の内部で得られる情報のひとつという事になるのだろう。

 そこにどれだけの関連性があるかは不明であるが、それでもある程度は同じ場所から何らかの目的の為に再現されているのだとしたら、フォルトゥナの考えも的外れという訳ではないと考えられる。

『そうなると、ここは人造神計画の実験場だったのかな?』

『可能性はあるかと。しかし、それでもおそらく初期から中期辺りまでしか使われていなかったのではないかと』

『ふむ。まぁ、他の場所も調べてみれば何か分かるかもしれないだろうさ』

『はい』

 とりあえずの目的が出来たところで、ヒヅキ達は先程よりも鋭い視線を周囲へと向ける。

 何をするにもまずはこの場所の広さを把握するところから始めなければと考えたヒヅキは、周囲を確認しながらも移動速度を少し上げた。

 それから森を真っ直ぐ進むと、しばらくして森の終わりが見えてくる。それを見たヒヅキは、森の先がまだあるのかと軽く驚いた。既に今までの部屋とは比べ物にならないほど広いというのに、まだ先があるというのだから当然の驚きとも言えるが。

 森を抜けると、そこは荒れ地であった。まるで建物の外の風景のような荒涼とした場所で、すぐ隣に森が在るとは思えないほどに荒れている。

 森から荒れ地に出てみると少し段差になっていた。森が在る場所は少し高くなっていたようだ。

『ここは……何も無いね』

 周囲を見回してみたヒヅキは、何処までも続く荒涼とした風景を前にそう口にする。

 何も障害物が無いので視界は通るが、何処までが本当に存在しているのかまでは不明。それはフォルトゥナに訊けば分かるかもしれないが、どうせ何処まで広いのか確かめるのだから、たまには自力で調べてみようかとヒヅキは思った。

『それにしても、ここは建物の外に似ているね』

『はい。もしかしたらここと同じ場所が基になっていたのかもしれません』

『かもしれないね』

 荒涼とした場所は探せばいくらでもあるだろうから、ここだと決まった訳ではない。そんな場所は何処も似たような場所であろうし。

 それでも一応そう思うのは、外側と内側という違いはあれど、やはりここが同じ建物に関係している場所だからだろう。

 森を抜けたヒヅキ達は、周囲を探りながらも引き続き真っ直ぐ進む。今はどの方角に進んでいるのかさえ分からないが、それはあまり関係ないだろう。

 相変わらず天気が悪いからか、周囲は薄暗い。それでも森の中ほどではないので、視界には困らなかった。

『そういえば、上空の様子は変わっていない気がするけれど、どうなんだろう?』

 ヒヅキは森を抜けたのだからと、思い出したように空へと視線を向けてみる。そうすると、崩れた建物の場所で見上げた空の様子と変わっていないような気がした。目印は太陽と雲だけだが、それなりに時間が経っているというのに位置に変化が無いような気がした。

『まぁ、ここは何でもありだからな。それに、あの太陽が周囲を照らしているのかも疑わしいし』

 しかし直ぐに興味を失ったヒヅキは、視線を周囲に戻す。こちらも何処まで行っても何も無い風景が続くだけだが。

『それにしても広いな。何処まで続いているんだ?』

 森を出てからそれなりに進んだというのに、地平の彼方まで荒涼とした地が続いているのを見たヒヅキは、思わずといった感じで口にする。もっとも、それを言ったところで有益な答えが返ってくるものでもないが。

 それからも荒廃した地を進み続けたヒヅキ達だったが、何処までもそれが続いてそうだったので、適当なところで休憩を取る事にした。

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