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神域への道92

 廊下から森の中に入ったヒヅキ達は、まずは目に付く崩れた建物を調べてみる。

 残っている壁を見る限り、頑丈な石が積まれた堅牢そうな建物だが、目の前ではすっかり崩れてしまっているので、外からでも中の様子を見る事が出来る。

 1階の部分は、崩れてきた石と壊れたり朽ちた家財で散乱しているが、奥の方に形を保っている扉が在るのが外からでも僅かに見えた。

 ヒヅキ達は崩れた建物の中に入っていく。玄関も何も無いので、適当な部分から中に入った。

 散乱している石や家財に気をつけながら、ヒヅキはまずその形を保ったままの扉の方へと向かう。

『この部屋は全く崩れていないのだな』

 扉だけではなく、その扉が取り付けられている部屋を囲む壁そのものが無事なようで、その部屋だけは外から中の様子が窺えない。

『この部屋から何かしらの魔法を感じます』

『魔法? 罠でも作動しているのかな?』

『いえ、この感じは危険なモノではないかと』

『そうなの? という事は、中で生きた魔法道具でも稼働しているのだろうか?』

『そうかもしれません。おそらくですが、この魔法は部屋の保存を目的とした魔法ではないかと』

『ふむ。それはまた特殊……というほどでもないか』

『はい。部屋の老朽化を遅らせる手段としては一般的な方法でした』

『主に富裕層に、だけどね』

 それでも、今までの伝説の魔法とか見た事のない魔法とか、魔導などという未知のモノよりはずっと身近な魔法であった。

『それで、ここに何か罠が仕掛けられているという事は?』

 ヒヅキが調べた限りだと何も発見出来なかったが、念の為にヒヅキはフォルトゥナにも確認を取る。

『罠は仕掛けられていないかと。しかし、どうやら鍵は掛かっているようです』

『ん? ああ、そうだね。でも、結構単純そうな造りに見えるけれど……』

 ヒヅキは扉の鍵穴に視線を向けながらそう口にする。軽く調べた限り、一般的な部屋の鍵とそう変わらないように思えた。それに、鍵が開かなくとも扉を壊せば中には入れる。

『まぁいいか。ここの鍵はこの建物の中にあるのだろうか?』

『それはなんとも』

『そうだね。とりあえず少し探してみるか。見つからなかったら鍵開けに挑戦してみるか扉を壊してもいいし』

 そういう訳で、その部屋は後回しにしてヒヅキ達は建物内を調べ始める。

 建物内は石の山と化しているので、それを撤去しながら鍵を探すのは骨が折れた。建物内の探索も兼ねていたとはいえ、鍵が石の山に紛れているかもしれないので、安易に石を消せないというのも面倒さに拍車をかけた。

 フォルトゥナは石を個別に消しながら探しているので、ゴミの山を調べていた時よりも何倍も何十倍も遅い。

 ヒヅキは最初、拾い上げた石を光の魔法で消していたのだが、そっと光球に当てるようにして消さないといけないので、直ぐに空いている場所に石を放り投げて集めてから消すという方針に変更する。

 そうした努力の末に1階部分はかなり奇麗になった。

 目的だった鍵も見つかったが、それは残っていた3階部分に隠されていた。しかも何本か一緒に隠されていたので、まずはどれが合うのかから確かめなければならない。

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