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神域への道85

 結局よく分からないという結論だったとはいえ、巨大な機具を調べ終えたヒヅキは、フォルトゥナの方に視線を向ける。

 ヒヅキが視線を向けた先では、少し離れた場所でフォルトゥナが機具の一部を開いて何かをしているところであった。どうやら機具の一部はふたのようになっているらしく、手順を踏めば扉のように開く事が出来るらしい。

 そちらの方に近寄ると、ヒヅキはフォルトゥナが何をしているのか後方から覗いてみる。

 機具の中は無数の線が張り巡らされているようで、その様子は太い糸で造られた蜘蛛の巣のようだった。

 ヒヅキはフォルトゥナの手元に意識を集中させる。フォルトゥナはその複雑な配線を理解しているのか、手慣れたように配線を弄っている。

 時折線を切り離して別の線と繋げたりしているようだが、ヒヅキにはその意味が全く分からない。そもそも機具は動いていないのだから、意味があるとも思えなかった。

(それにしても、線の方は問題なく弄れるのだな)

 建物内は何かしらの保護機能が働いているらしいので、建物内に在った物の破壊は難しい。仮に破壊しても、少しすれば戻ってしまう。それに破壊する際にその保護機能の抵抗があるので、普段よりも力を使わなければならない。

 だが、見た感じフォルトゥナは簡単に配線の作業を行っている。線なので抵抗があってもそれほどでもないのかもしれないが、ヒヅキは何となく抵抗を感じていない気がした。それに、配線を変えても戻る様子は無い。

(破壊じゃないからだろうか? それとも修復に時間が掛かっているからかな?)

 最初にこの建物に来た際に目印として壁に傷を付けた時の事を思い出したヒヅキは、そう考える。あの時は傷が修復されるまで時間が掛かったようで、少しの間眺めていても変化は無かったのだから。

 何にせよ、フォルトゥナの行動は保護機能の反応が鈍いらしい。これはこれでこの機能を理解するきっかけになるかもしれないが、ヒヅキではさっぱりなので、この際どうでもいい内容だった。

 見学していてもよく分からないので、ヒヅキはフォルトゥナに声を掛ける。

『それは何をしているの?』

『この機具は稼働していないようなのですが、力の循環と申しますか、内部ではまだそういった動きが僅かにあるようなので、その辺りを確かめているところです』

『なるほど?』

 分かったような分からないような。そんな気分ながらも、ヒヅキは折角訊いたので、フォルトゥナの言葉を分からないなりに考えてみる。

(つまり表面では沈黙しているが、内部ではまだ生きているという事なのかな?)

 機具自体は動いていないが、内部では何かしらが動いている。そう解釈したヒヅキだが、考えてもそれぐらいしか分からなかった。

(えっと、機具そのものは稼働していないで、内部では何かしらが循環しているという事だから……意識はないけれど血液は循環しているという感じなのかな? つまりは一応生きているという解釈でいいのだろうか?)

 自分なりに分かるように考えたヒヅキは、そう結論付ける。

 それから確認の為にフォルトゥナにその考えを話してみると、その認識で間違いないという事だった。ただし、内部が生きているからと言って、再び稼働する訳ではないらしい。というより、フォルトゥナはそれについても調べている最中らしいが、今のところ起動する様子が全く無いので、起動するのに必要な根幹部分が完全に死んでいるのではないか、という話だった。

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