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神域への道84

 石像が在った部屋から移動すると、その先の部屋には大きな機具が置かれていた。

 部屋の広さが今までと変わらないのだとしたら、その機材は部屋の大半を占めているほどに大きいという事になる。それに天井も突き破るほどに大きいらしく、機具の上の方は確認出来なかった。

『……これは何の器具だ?』

 警戒しながらも部屋に入ったヒヅキは、何やら複雑そうなその機具を前に訝しげに眉根を寄せる。

 その機具が何かは分からないが、無数の部品が組み合わさって出来ているのは分かる。

 それらは見るからに精密に組み合わさっているようで、この空間内なので壊れないとは思うが、それでも触れるのに躊躇してしまうほど。

 そんな巨大な機具の中でも一際目を引くのは、中央で大量の管に繋げられている透明な入れ物だろう。

 その入れ物は人一人が入ってもかなり余裕がある大きさで、密集すれば五六人ぐらいは中に入れそうだ。それに高さも3、4メートルぐらいはありそうなので、天井の中に上の部分が入りこんでいる。入れ物の外から中を覗く事でなんとか高さが分かったが、それにしても大きい。

 そんな巨大な入れ物が、機具の中央にでんと置かれている。上部や下部に大量の管が取り付けられているので、何らかの入れ物で間違いはないだろう。

『この大きさだと人……いや、それよりも大きなモノでも入るか。熊か何かでも入れたのだろうか?』

 恐る恐る入れ物に触れてみると、かなりしっかりとした造りのように感じた。試しに軽く叩いてみると、硬質な音が返ってくる。

 周囲に目を向けると、何やら複雑な機具が入れ物を囲んでいた。それに触れていいものかと悩んだヒヅキだが、壊れても問題ないだろうと思い、近い場所に触れてみる。

『ふむ? 金属っぽいけれど、なんか感触が軽い気も? それにここら辺の何か書かれている部分は押す事が出来るな。隣の突起は左右に回す事が出来るようだし』

 色々と吹っ切れたヒヅキは、適当に機具を押したり捻ったりしてみるが、機具は動いていないようで、どれだけ弄ってもうんともすんとも言わない。

 そのまま移動して色々な場所を弄っていくが、結果は同じ。動かし方などヒヅキは知らないので、その機具はただの巨大な置物でしかないようだった。

『まぁ、これも何処かの何かを真似たものだろうから、そもそも動くとは限らないのだけれども』

 部屋に置かれていた実験器具は使用出来たが、それでも汚れる事は無かった。という事で、それ自体は時が止まっているのだろう。というのがヒヅキが出した結論だったので、これも似たようなモノなのだろう。つまり、最初から動いていないという事は、何をしても動かないという事。

(もっとも、そんな実験器具を普通に使用出来たという事に疑問が無い訳ではないけれど)

 実験器具は汚れなかったとはいえ、火は点いたし熱は通した。それに一応壁には傷が付くので、仮に時が止まっているのだとしても、まるっきり何もかもを受け付けないという訳ではないのだろう。

(だからといって、何か分かるかと言えば何も分からないのだけれども)

 ヒヅキの身に付けている技術や知識では到底解き明かせそうにもないので、ヒヅキはその考えから離れる。そういった事は分かる者が考えればいいのだ。分からない者が考えたところで時間の無駄だろう。

 それでもヒヅキは考える事に意味があるとも思うが、今はそんな場合ではないので気にしない事にした。

 ヒヅキは引き続き巨大な機具を調べてみるが、その結果は、ヒヅキにとっては巨大な機具も、ただの精緻な細工の巨大な置物でしかないというものであった。

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