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神域への道80

 まずは炎に手を入れて確かめるところから始めなければならないだろう。そういう訳で、ヒヅキは触れる程度に炎に手を伸ばしてみる。

『………………ふむ。問題なさそうだな』

 特に熱も感じないので、やはり炎は見た目だけのようだ。後は炎の中がどうなっているのかだろう。

(中まで炎で埋め尽くされているようだったら、調べ物もままならないからな)

 そもそも炎の中に何か在るというのも可能性の話でしかないが、それでも探し難いよりは探し易い方がいいのは確かだ。

 ヒヅキは炎に触れる程度に入れていた手を、更に奥まで突き入れる。それでも焼かれている感じどころか、相変わらず熱さも感じないので大丈夫だろう。

 そう判断したヒヅキは、フォルトゥナにそう告げて中へと入る。フォルトゥナが安全の為に先に入ると主張していたので、ヒヅキは先に入らせた。

 実は先程炎に触れた際に同じ主張をされたが、それについてはヒヅキがフォルトゥナに告げずに先に触れていたので今更だった。なので、今回はフォルトゥナの主張を優先させた形になる。

 程なくしてフォルトゥナから問題ない事が伝えられたので、ヒヅキは炎の中に入る。炎の中は、予想通りに視界いっぱいに炎で満たされていたが、どうやらその炎はよく見ると半透明というか、向こう側が透けているようだった。

 とはいえ、全体に明るい赤色なので、手を透かすなどしない限りは気がつきそうにはなかったが。

『見えなくはないけれど、これじゃあ遠くまでは見えないな』

 霧の中というのとは違うのだろうが、気分は濃霧の中を進んでいるようだった。すぐ近くに居るはずのフォルトゥナの姿さえ、薄ぼんやりと輪郭が確認出来る程度で、少し気を抜くと見失ってしまいそうになる。

 そんな中から、結構広い部屋を調べていくというのは中々に骨が折れる。ヒヅキとフォルトゥナは感知魔法で相手の位置を感知しているし、遠話で話をしながらなので問題ないが、それでも部屋の探索には時間が掛かった。

 今まで罠らしい罠もなかったが、それでも警戒をしながらなので余計に時間を要した。やはり人は視界に頼っている割合が大きいので、視界の悪い環境というのは神経が磨り減る。

 罠の確認も、立ったままでは足下が見えないので、中腰になって進まなければならない。それでいながら頭上も注意するので、本当に面倒な探索であった。

 ここに来るまでに幾度か強化されていなかったら、ヒヅキは途中で探索を諦めていたかもしれない。

 そうして時間を掛けて探索し終えたのはいいのだが、結局炎の中には何も無かった。何があるか分からなかったので徒労に終わったとまでは思わないが、それでも拍子抜けしたのは確かだった。

『次の部屋に何も無かったら休憩しようか』

『はい』

 疲れた声音でヒヅキがそう問うも、フォルトゥナはいつも通りの声音で返答する。あんな状況でも疲弊していないのだろうかとヒヅキは思うも、フォルトゥナはヒヅキ以上に妙な体質なので考えない事にした。

 それから先へと進むと、直ぐに次の部屋が見えてくる。廊下から中を覗いてみると、何も無い部屋であった。

 それでも注意して中に入ると、まずは部屋を調べる。そうして安全を確かめてから、ヒヅキ達は休憩に入る。

「はぁ」

 いつも通りに防水布を敷いてその上に座ると、ヒヅキは思わずため息をついてしまう。それで思ったよりも疲れているようだと判断したヒヅキは、魔力水を飲んで喉を潤した後、フォルトゥナに警戒を任せて少し寝る事にしたのだった。

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