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神域への道66

 僅かに残っていた根っこを動かそうとしてはいるが、長い根っこは残っていない。根っこ以外は動かないようなので、この状態では危険性はほぼ皆無だろう。

 ヒヅキは一応未知の攻撃を警戒しているが、それでも手に持ったまま植物の観察を始める。

(動かなくなってからとそれほど変わらないか?)

 未だに根っこの残りを懸命に動かしているのを確認したヒヅキは、一通り観察を終えた感想を内心で呟く。

 見た目的には今までの実験の際に使用していた動かなくなったのと何も変わっていないので、ヒヅキは植物を切ってみる事にした。

 持っていた短剣を構えたヒヅキは、植物を縦に切るか横に切るかで一瞬悩む。その間に植物を地面に置いた後、ヒヅキは縦長の植物なので、横に切る事にした。

 葉の部分との境目から、塊根の長さのおおよそ3分の1程度下がった位置だろうか。目と口っぽい線の間辺りをヒヅキは短剣で切断する。

「ん?」

 そうしてみると、途中で何かを切ったような感じがして、ヒヅキは首を傾げながら切断面を確認してみる。

(何か感触があった訳ではないけれど……)

 途中で何か硬い物が在ったとか、途中が空洞になっていたとか、そういった何かしらの感触が短剣から伝わってきた訳ではないが、それでも何かを切ったという感じがしていた。言ってしまえば直感のような感じなのだろうか。それともヒヅキの鋭敏な感覚が何かを捉えたのかもしれない。最近は魔導の修練のおかげで、ヒヅキの感覚は色々と捉えられる幅が増しているようであった。

 確認した切断面は、実の詰まった普通の野菜と同じだった。触って確認してみても、何処かしらに感触が違う場所が在るという訳でもないし、色も外観よりは赤の色合いが明るめなだけ。それは今まで実験で使用した植物と同じ。

「?」

 いくら観察してみても、結果は同じ。他の場所を確認してみると、動いていた根っこの残りは動きを止めていた。

(切ったからだろうか? いや、実験の際は切断どころか、根っこさえそのままでも最初から動きを止めていた時もあったか。という事は、何かしら動力となる部分を失ったという事だろうか? 実験の際は、魔法の攻撃でそれを失っていたから止まっていた?)

 フォルトゥナにも調べてもらう為に持っていた植物を渡したヒヅキは、フォルトゥナが調べている間に現在の自身の考えを纏めていく。

(もしもそうであるならば、今回も何かしらの原因によってそれを失ったという事になる。そして、最もその可能性が高いのが、塊根を切断した事だろう。その前までは根っこの残りが動いていた訳だし。そうなると、あの何かを切った感覚は、その動力源を切ったという事なのかもしれないな。しかし、切断面には何の痕跡も無かったし……うーん、単純に偶然時間経過で動きが止まったのと切断した時が重なったとか? 実験の際は、攻撃を受けたことで残り時間が減少したとか。いやしかし、それなら今回は根っこの切断を行った訳だし。それとも外傷は関係なく、魔法や魔導なんかで内部に傷を負った場合は残り時間の減少が起きるとか?)

 些末な可能性を排して考えてみるも、それでも枝葉のように可能性は拡がっていく。

 それでもやはり1番可能性が高いのは、塊根を切断した際に何かしら重要な部分も一緒に切断したというものだろう。

(そう仮定するならば、次はその何かの特定をしたいところだな。その前に、同じ状況で別の場所を切断した場合を先に確認しておくべきだろうか? 仮説の重要部分が一定の場所に存在するとか、大きさはそれ程大きくはないとか、数が複数存在しないとか、前提条件も考えないといけないけれど……そこまで考えると面倒だから、同じ状況で別の個所を切断しても動いているかどうかだけの確認だけでいいか。それを確認した後なら、重要部分の有無がもう少し明確になっていくだろう)

 ヒヅキがそう結論付けたところで、フォルトゥナが植物を調べ終わった。

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