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神域への道62

 それからも廊下を進みながら部屋を確認していくが、あの妙な汚れの付いた部屋のような変わった部屋は無く、普通に奇麗な実験器具が置かれていたり、倉庫だったりしただけ。倉庫は以前見た縦長の倉庫ではなく、普通の部屋に棚が並んでいるだけだった。

 やはりあの部屋が変わった部屋だったのだなとヒヅキが考えたところで、次の部屋に到着する。

『これはこれで変わり種だね。森ほどではないけれど』

 廊下から確認した部屋の中は、畑だった。一面土が敷き詰められ、等間隔で畝が幾つも並んでいる。その畝からは、何かの植物が伸びていた。

 その植物の葉を見る限り、幾つかの畝ごとに植わっているものが違うようで、何種類か確認出来る。中には似た形の葉っぱもあって、自然で見つけたら見分けるのが難しそうだ。

 部屋の中に入ると、土のにおいがしてくる。廊下からは何も感じなかったので、もしかしたら廊下と部屋では別空間なのかもしれない。そう思えば、納得出来る部分が幾つかあった。

 それはそれとして、畑である。手近な畝に近づいて、生えている葉っぱを観察する。

 葉っぱが生えている場所は、畝の横幅の中央。縦列には等間隔で同じ形の葉っぱが並んでいるので、人為的に植えられた物であるのが分かる。

 目の前の植物の葉っぱはギザギザしていて縦に長い。茎も長く、大量の葉を付けていた。

『これは何の植物だろう?』

 見た限り、土からは葉と茎しか伸びていない。その下に何かが出来ているのかどうかは、掘り返すか引っこ抜かなければ分かりそうになかった。

『うーん……よく分からない植物を抜いてもいいものか』

 少数ではあるが、植物の中には土から露出した瞬間に何かしらの攻撃を仕掛けてくる事がある。毒性の気体を周囲にまき散らしたり、凶暴な動物などを誘うにおいを分泌したりと色々。中には根っこで攻撃してきたり、音で攻撃してきたりする変わり種も存在していた。

 普通はそういった植物はかなり珍しいのだが、ここは神の領域。今までも散々よく分からない現象に出くわしているのである。その程度の植物であったらまだマシだ、という考えが自然と浮かぶほどに何でもありの場所だった。

 その為にヒヅキは植物を引き抜くのに躊躇してしまう。掘り返すのも同様なので、このまま外から観察しているだけの方が安全だろう。最も安全なのは遠目からの観察かもしれないが。近づいただけで攻撃してくる植物が居てもおかしくはないのだから。

(まぁ、流石にそんなのは畑には植えないとは思いたいけれど)

 半ば願望ではあるが、そう思う事にする。それでもあまり奥には行かないようにするつもりだが。

『では、遠くから風を起こして土を飛ばすというのはどうでしょうか? 水で流すなり、土を消すなりでもいいですが』

『そうだね、風で周囲の土を飛ばしてみるか。幸い、畑の土なだけにふわふわした柔らかい土のようだし。それに、風なら何かしらにおいで攻撃してきても吹き飛ばせるだろうし』

 そういう訳で、ヒヅキ達は畝から距離を取る。部屋の壁際まで移動したところで、フォルトゥナが狙った場所に局所的な強風を吹かせた。

 その強風により、狙った植物の周りの土が少しずつ飛ばされていく。手で掘るよりも遅いが、それでも確実に植物の周囲の土が飛ばされていっている。

 数分程見守っていると、やや深めに掘り返したところから暗い赤色が覗く。

『あれが本体かな?』

 今のところ動く様子は無いが、もしかしたら既に何かしらのにおいを発しているのかもしれない。そう思いつつも、ヒヅキは見た目は普通の根菜っぽいなと思った。

 それから更に深く掘ったが、暗い赤色の部分は縦に長いようで、中々その全容を現さない。

『ふむ』

 大分露出した植物を眺めながら、ヒヅキはこの植物は問題ないかもしれないと思う。念の為に風の結界を使用していればなんとかなりそうだった。

 そう判断したヒヅキは、フォルトゥナに風を起こすのを止めさせた後、風の結界を展開させたまま植物に近づいてみた。

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