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神域への道59

 ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返しながらも、ヒヅキは途中途中の部屋の確認も怠らない。今のところ空き部屋が続いており、ゴミ箱のような部屋以降は部屋を確認しながら廊下を進んでいるだけ。

 その間に光の魔法を魔導に変換する作業に集中出来るのだから、ヒヅキにとっては丁度良かった。

 そうして進んでいると、フォルトゥナから報告が入る。それによると、まだ会っていなかった方の英雄達が下に移動したらしい。最初に会った英雄達は既に下階へと降りていたので、おそらく一時的であろうが、これで3階には英雄達が居なくなった事になる。

 それはヒヅキにとってはどうでもいい情報なので、フォルトゥナに礼を言った後は、意識の片隅にその事を留めおくだけ。

 それからも探索を続けるも、変わった部屋は何も無い。途中で何かしらの器具が置かれた部屋が在ったが、器具が置かれている以外には何も無かった。

 そうこうしている内に3階の探索は大分進んだが、ヒヅキの変換作業の方はいまいち進展していなかった。魔素の流れは正確に掴めているのだが、魔法を魔導に変換する作業が難航している。というのも、光の魔法はやはり特別だという事なのだろう。

(改めて光の魔法の構成を確認してみると、かなり複雑でいながら緻密に組み上げられている。よくもまぁ、こんな魔法を使用しようと思ったものだ。無知というのは時に偉業を成すものだな)

 もしも最初に光の魔法を使用した時に魔法の構成を確認したのならば、おそらく行使するのに躊躇しただろう。そう思えるぐらいに細かな要素を組み上げた魔法であった。それこそ、芸術というのはこの魔法の事を言うのだろうなとなんとなく思ったほど。

(これに手を加えるというのは無理そうだな)

 光の魔法を魔導に変換する際に使いやすいように構成に手を加えるという考えもあったが、光の魔法の構成を目にして、ヒヅキはそれを諦めた。少なくとも、ヒヅキでは魔導に変換するのが精々といったところだろう。そこから手を加えるなんて事は今の技量では不可能であった。

 そう考えながらも、未だに終わらない変換作業に僅かに苦笑が漏れる。時間を掛ければ問題なく終わるとは思うが、どれだけ時間が掛かるのかまでは分からない。

(それでもやるしかないんだよな)

 今代の神との戦いを思えば、切り札とも言える力は持っていた方がいいだろう。幸いまだ3階であり、後地下2階分の探索が残っている。それだけの時間があれば、ある程度までは形に出来ているだろう。

 そう考えながらも、変換作業を続けていく。他の魔法で散々行ってきた作業だけに、まだなんとかなっていた。これを魔導が扱えるようになったばかりの頃に少し試したのだから、やはり無知というのは怖いものであった。

 結局、3階の探索が終わるまで変換作業を続けても終わらなかった。3階には変わった部屋は少なく、ほとんどが空き部屋。たまに何か在るのを見つけても、ただ何かしらの器具が置いてあるだけだったり、前にも見た知らない文字で書かれた本が並んでいたりとそればかり。

 ヒヅキとしては調べるのが直ぐに終わったのでよかったが、発見の少ない階層だった。

 そうして3階の探索を終えると、ヒヅキ達は昇降機を使って地下1階に降りていく。地下は地上よりも色々と集まっているらしいので、調べるモノが多いだろう。といっても、先行している女性や英雄達によって粗方調べられているのだろうけれど。

 ヒヅキとしては、今は探索よりも変換作業が優先なので、地下での調査は主にフォルトゥナに任せる事にした。ヒヅキも一緒に調査を行うが、変換作業の合間合間でなので、作業効率はグッと下がる。

 それに、もしかしたら変換作業に集中するあまりに見落としが増えてしまうかもしれないので、それを見越してのフォルトゥナを主とした調査作業であった。

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