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神域への道53

 白い球体の使い方を考察しながらも、ヒヅキは廊下を進む。相変わらず何も無い部屋ばかりだが、探索は順調に進んでいる。

 途中でフォルトゥナが英雄達が近い事を教えてくれたが、合流してみると前回と同じで探索しているだけだった。それもヒヅキ達とは反対方向へと進んでいるので、挨拶と情報交換だけして別れた。

『やっぱり研究道具とかは大半が地下に在るんだね』

『そのようですね。地上3階はほぼ空き部屋という事でしたが』

『まぁ、それは今更な気もするけれども』

 現在地は3階である。1階も2階も調べ終えた後だし、3階も2,3割ぐらいなら調べ終えたのではないかという段階。なので、その情報は本当に今更な情報であった。

 それでも情報は情報である。他にも色々と聞けたので、無駄ではなかっただろう。それに、ヒヅキ達から提供出来る情報というのもそれほど多くはなかったのだから。

 英雄達と別れた後も、何も無い部屋を確認しながら廊下を進む。一応進行方向の情報は英雄達から仕入れているが、部屋の中は色々と変化しているらしいので、残念ながらその情報が正しいとは限らない。

 それでも参考程度にはなるし、変化したらその変化を楽しめばいいだろう。

『もう少し先に何故か泉が在るらしいね』

『はい。部屋の中央にそこそこ深い水溜まりが存在しているという話でした』

『魚も泳いでいるが獲れないという話だったね』

『はい。そもそも水の中に入る事が出来なかったようですし』

『それは一体何の為の部屋なのか。というか、おそらくここの部屋は何処かの世界に存在しているモノを再現しているのだと思うのだけれども、聞いたように部屋の中に大きな水溜まりが在るような部屋ってどんな部屋なんだろうね。魚を育てているとしても、外でいいと思うのだが……』

 それとも何か室内でなければならない理由でもあったのだろうかと考える。もしくは複製を用意するのは、この世界では建物内限定という事なのだろうか。建物の外は存在しないとはいえ、これだけの建物を創ったのならば、少し外を追加するぐらいは出来そうなものだが。

 そんな事を話し合いながら、ヒヅキ達は英雄達に聞いた部屋に到着する。廊下から部屋の中を覗いてみると、そこには話に聞いていた水溜まりは存在していなかった。その代りに存在していたのが、

『森?』

 鬱蒼と生い茂る木々であった。それも結構な密度で、見るだけで入るのを躊躇しそうなほど。

『床に土は無いようだけれども……?』

 ヒヅキは木々の根元に視線を向けてみると、そこには土らしき存在は確認出来ない。というよりも、木々が床を突き抜けて生えている感じで、根元が確認出来なかった。

『この床は幻影で、存在していないという事はないよね?』

 廊下から部屋の中の様子を窺っていたヒヅキは、部屋に入る前に足先で床を突いてみる。

『床は在る。それとも森の部分だけ違うとか?』

 ヒヅキは警戒しながらもゆっくりと森に近づいていく。進行方向の床を調べる為に、女性から預かっている長剣を杖代わりにして先の床をつつきながらの移動だ。

 そうやって森の前に到着する。床が存在しない場所は確認出来なかったが、森の中はまだ入っていないので分からない。

 森の前に到着するも、木々の匂いは感じられなかった。そのせいで、まるで森の幻影でも見ているような気分になる。

『もしかして、森の方が幻影なのかな?』

 そう思ったので、ヒヅキは長剣で近くの木をつついてみると、確かな感触が返ってくる。長剣でつついた木も僅かに揺れていた。

『実体はあるのか』

 何とも不思議な気分になってきたヒヅキは、そのまま木の根元部分の床をつついてみるが、長剣を通してヒヅキに床が存在する感触を伝えてくる。

『こっちもちゃんと床が在るのか』

 床から木に視線を向けてみる。匂いはしないが、確かにそれは木であった。それも真っ直ぐ育った立派な木のようで、伐採すれば良い木材になりそうだった。

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