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神域への道47

 起き上がったヒヅキは、フォルトゥナにその辺りの話をしてみる。そうすると、やはりフォルトゥナは気づいていなかったらしく、驚いて視線を天井に向けていた。

 しかし、その時には既に何処かに移動した後のようで、ヒヅキがフォルトゥナの勢いにつられるように天井に目を向けても、そこに居たはずの奇妙な存在は確認出来なかった。無視する方針だったので、ヒヅキとしては丁度よかったかもしれない。

 念のためにヒヅキは天井から周囲に目を向けてみたが、奇妙な存在を確認する事はなかった。視界の端でも捉える事が出来なかったので、僅かな時間で何処かへと移動したのだろう。何も感じなかったが。

 周囲を確認し終えた後、ヒヅキは立ち上がって身体を解す。軽く筋を伸ばした程度の体操だったが、部屋の床が硬かったからか、それだけで少し身体が軽くなった気がした。

 身体を解した後、腹を満たしたら片付けを済ませて部屋を出る。来た道を確認してみるも、英雄達の姿は確認出来なかった。それでもヒヅキの感知魔法の範囲内だったので、離したはずの英雄達が大分近くまで調査に来ているのが分かった。

 それを確認したヒヅキは、さっさと先へと進む。建物内はいつまで経っても光量が変化しないので、時間の感覚が狂ってしまう。

 それから幾つか部屋を確認したが、何も無い部屋ばかりだった。道中でまだ会っていない他の英雄達についてヒヅキがフォルトゥナに尋ねてみると、まだ大分距離があるらしいが、2階にはもう1組英雄達が居るらしかった。

 ただ、そちらの英雄達はサクサクと調査しているようで、移動速度はヒヅキ達と然して変わらないらしい。なので、おそらく合流する事はないだろう。

 別に英雄達と合流しなければならない理由もないので、無理なら無理でも構わない。これが女性かクロスだったならば、多少無理をしてでも合流しようとしただろうが。

 それからも、部屋をひとつひとつ確認していきながら廊下を進んでいく。1階の時を参考にすれば廊下はかなり長いので、結構進んだとは思うが、まだまだ先まで続いている事だろう。

『あ』

『如何いたしましたか?』

 そうして廊下を歩いていると、突然ヒヅキが思い出したような声を零す。それにフォルトゥナが問うと、ヒヅキは苦笑するような呆れるような何とも言えない表情を浮かべて答える。

『大した事ではないのだけれども、2階に上がってから目印を置かなかったなと思って。昇降機への横道が目印にはなるけれど、あれがひとつしかないとは限らないし、ここだと、あの横道ごと別の場所に移動していてもおかしくはない』

 勿論、置いた目印が消えたり移動したりという可能性もあるが、それでもこの建物よりは信用出来るだろう。もっとも、横道から大分移動したので、思い出したところで今更な話ではあるが。

『確かにそうかもしれません。ですが、英雄達は部屋の中が変わる事があるとは口にしていましたが、そこまでの言及はありませんでした。なので、大掛かりな組み換えは無い、もしくは可能性がかなり低いと愚考致します』

『まぁ、もう今更な話だから別にいいんだけれどね』

 横道の位置が変わるのは少し困ったものだが、昇降機が複数あるのは歓迎すべき事だろう。1階には複数台は無かったので、もしもあったら何処に繋がっているのか興味があった。

 とりあえずヒヅキは、3階を調査する時は最初に何か目印を設置しようと思ったのだった。同じ風景ばかり見ていて忘れてしまう可能性もあるだろうが。まぁ、その時はその時だろう。

『地下の方の調査は終わってるかな?』

『地下部分も1階部分と規模が同じと仮定しますと、地下2階程度はもう調査が終わっているかと。もっとも、色々と置いてあったのならば、まだまだ時間が掛かるかもしれませんが』

『そうだね。規模もだけれど、もしかしたら実験の主体は地下の方にあるのかもしれないね』

 フォルトゥナの返答に、ヒヅキは何度か頷きを返しながらそう答えた。先行偵察隊はここが実験をしていた建物ではないかと考察していたので、そういった類の器具が何処かにあるのは間違いないのだろうし。

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