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神域への道39

 扉やその周辺の様子を再度調べたヒヅキは、鍵は掛かっているが罠はないと判断する。

『鍵を開けるのは時間が掛かりそうだし、扉を壊す方が簡単そうだね』

『はい。でしたら、私が消してしまいましょうか?』

『そうだね……その方が早いかもね』

 フォルトゥナの提案に少し逡巡したヒヅキだが、その方が手っ取り早いと頼む事にした。

 ヒヅキが頷いて扉から数歩下がると、フォルトゥナは扉に向けて消滅魔法を行使した。それにより、頑丈そうな扉が一瞬で消える。

「?」

 扉を消したフォルトゥナは、扉が在った場所を眺めて僅かに首を傾げた。

『何か気になる事でもあった?』

 フォルトゥナのその様子に、ヒヅキがどうしたのかと尋ねると、フォルトゥナはどう言えばいいのかと言葉を探すようにしながら、口を開こうとして閉じる。

 ヒヅキはその様子を眺めながら、フォルトゥナが考えを纏めるのを待つ。

『……今までと異なり、抵抗とでも申しましょうか、消滅させるのに多めに魔力が必要でした』

 考えながら紡いでいったフォルトゥナの言葉に、ヒヅキは目印を刻む為に光の剣で壁を斬った時の事を思い出した。その時にヒヅキも抵抗のようなモノを感じて、普段よりも強めに光の剣で斬ったのだった。ただ壁に傷を付けるだけで、岩を斬る以上に力が必要になったほど。

『それは壁に傷を付けた時に私も感じた。この世界の物は魔法に耐性でもあるのか、それとも変化に抵抗しているのか』

 この建物の調査を始めてから振り返ってみると、建物や器材は新品のようなものばかりであった。時代を感じさせるのは人造神について書かれた日記帳ぐらいで、時を感じたのは、実験器具が置かれていた部屋の素材の一部が朽ちていたのを見た時ぐらいだろう。あれだってここで朽ちたのかは定かではない。見取り図は明らかに違う建物について描かれていたのだから。

 そこまで思い浮かべると、ひとつの仮説が思い浮かぶ。もしかしたらここは、様々な世界のモノを組み合わせて詰め込んだだけなのではないかと。そして、組み込んだ時から変化しないのではないかと。

『なるほど。ここはこの建物しかないようですから、保護目的なのかもしれませんね』

 ヒヅキの言葉に納得して頷くフォルトゥナ。もしそうなら、まだ壁や扉だから壊せるぐらいだったのかもしれない。

(もっとも、この建物自体は別口で用意されているのだろうが)

 何処までも同じ造りで同じ見た目のその場所は、流石につぎはぎで造ったとは思えない。何となくだが、そう考えれば、ここは博物館のように思えてきた。

『そうだね。とりあえず中に入ってみようか。何か分かるかもしれないし』

『そうですね』

 フォルトゥナが扉を消した入り口から中に入ったヒヅキは、少し歩いたところにもう1枚扉が在るのを発見する。

(また厳重な)

 扉を確認してみると、先程とは鍵穴からして違う。それに、今回はヒヅキでも解るほどの罠が仕掛けられていた。

『罠だらけだね』

 さてどうしたものかとヒヅキが考えようとすると、

『罠ごと扉を消しましょうか?』

『出来るの?』

『はい。罠は扉とその周辺に集まっているようなので、範囲が狭い分、一緒に消す事が可能です』

『そうか。では、よろしく頼む』

『お任せください』

 ヒヅキは後をフォルトゥナに任せて、扉から距離を取る。ヒヅキが距離を取ったところで、フォルトゥナが扉と罠を一瞬で消滅させる。罠が発動する時間を与えないほど一瞬の出来事だった。

 扉が周囲の壁ごと消失したので、罠が残っていないのを確認して、ヒヅキは中へと入っていく。

 中は思ったよりも横幅が狭かった。ただ奥行きはかなりあるようなので、面積としてはそこそこ広い。

 倉庫の中を歩きながら左右に並んだ棚に目を向けてみると、そこにはやはり素材が並べられている。種類別に置かれているようで、棚によって置かれている素材の種類が違う。中には同じ空間で保管していいのだろうかと思うモノもあったので、もしかしたらこの倉庫も複数の倉庫をくっ付けているのかもしれない。

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