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神域への道38

 それから少し移動したところに在った部屋は、何かの実験器具が壁際にずらりと置かれている場所であった。

 よく分からない器材が多く、グネグネと曲がった透明な管で繋がっている器材や、何処からか動力を得ているのか小さな光点が順番に点滅している器材など様々。

 ヒヅキは慎重に部屋の中に入って調べてみる。こういう器材は下手に触らない方がいいような気がしたので、触れないように注意しながら眺めるだけだが。

 そうして調べていると、部屋の隅の方に箱を見つける。何かの器材という感じでもないので、罠が無いのを調べてから開けてみた。

『これは……素材?』

 そこには、鉱石や乾燥した草花などが詰められていた。一部朽ちているように見えるモノもあるも、使えそうなモノも幾つか確認出来る。

『ここでの実験に使っていたのだろうけれど、ここは本当に稼働していたのかな?』

 ヒヅキは顔を上げると、部屋の中の実験器具の方に目を向ける。そこに並ぶ実験器具は、どれもこれも未使用品のように奇麗であった。

『ヒヅキ様。これを』

 考えるように視線を実験器具に向けていたヒヅキに、フォルトゥナは声を掛けながら1枚の紙を差し出す。

『ん? これは……地図? いや、見取り図か?』

 差し出された紙には直線の多い図形が描かれていた。よく見ればそれは建物の見取り図のようだが、現在居る建物のように真っ直ぐな廊下とだだっ広い部屋が延々続いているような建物とは違う建物の見取り図のようだった。

『少し似ている部分もあるが、これは何処の見取り図だろう? そもそもこの見取り図は何処にあったの?』

 ヒヅキは見取り図に視線を落としたままフォルトゥナに問い掛けると、フォルトゥナは素材の入った箱の側面を指で示す。

『そこの箱の側面に貼り付くようにありました』

『そうか。素材の方に目がいって見落としていたようだ。ありがとう』

 見取り図を確認しながら礼を言ったヒヅキは、指で現在地らしき印が付けられている場所と、もう1ヵ所印が付いている場所までを順路に沿って指でなぞる。

『ん~、この倉庫? までの道のりだけを切り取れば、ここに似てなくもないか』

 もうひとつの印が付いている倉庫のような場所までは、現在地としているだろう印から移動すると、真っ直ぐな廊下を通って、幾つかの部屋を過ぎる必要がある。見取り図の縮尺は分からないが、形だけは確かに同じだった。

『これで本当に倉庫が在ったら、これも何かしら関係しているという事なのだろうね』

 描かれている見取り図は、普通の家に作業場所を増設したような見取り図なので、全てが同じという訳にはいかないが、それでも倉庫があれば、少なくともそこまでの見取り図はここと同じと言える。

 その後は実験器具が置かれている部屋を十分に調べた後、見取り図を片手に廊下を進む。

『この見取り図によれば、この先の部屋は別の作業部屋だったようだけれど……』

 そう言ってヒヅキは到着した部屋を覗きみるも、見取り図とは異なり、今までと変わらない何も無い部屋であった。

 それから幾つか部屋を過ぎるも、何処も何も無い部屋なのは変わらず。

 次の部屋は倉庫の予定だが、今までと変わらない様子に、見取り図はやはり別の建物の見取り図なのだろうと少し落胆した。もっとも、それも倉庫の存在を確認してからだろうが。

 そう思いながら次の部屋に到着すると、そこは今までと異なり外からは覗けないようになっていた。しかも扉も頑丈そうな物に代わり、鍵まで付いている。

 外観からして明らかに違うその場所に、ヒヅキはここが倉庫なのだろうかと期待して調べてみる。

『むぅ。罠はないが、鍵が複雑だな』

『はい。鍵開けをするならば時間が掛かりそうです』

 鍵の様子を確かめたヒヅキの言葉に、交代して確認したフォルトゥナが頷く。見た目は単純そうな鍵だというのに、国庫にでも使われそうなぐらいに厳重で緻密な造りの鍵であった。

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