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神域への道31

 それからも廊下を進み、既に光球の維持時間は過ぎているが、それでも未だに目印を付けた場所には戻っていない。

(ん~、本当に同じ場所を歩いている訳ではなさそうだな)

 廊下を歩きながら、ヒヅキはそう思う。しかし、今のところ何処までも続く廊下と何も無い広い部屋しかない。窓の外も同じような寂しい景色ばかり。何か変化がなければ、やはり同じ場所を繰り返していると思ってしまうだろう。

 そんな事を考えながら廊下を進んでいると、遠目に横道のようなものを見つけた。

「ん~?」

 ただ、距離があるのでそう見えるだけかもしれない。それでも変化があった事で少しやる気が回復する。やはり同じ景色ばかりで精神的に疲労していたようだ。

 途中の部屋を確認しながら近づくと、やはりそれは横道であった。一応罠を警戒したが、何も無い。横道の先に目を向けると、そこは少し先に扉があるだけ。

「?」

 今までの部屋の扉とは見た目からして違うその扉に、ヒヅキは警戒しつつ近づく。そうして扉の前に到着すると、ポーンという軽い音が何処からか鳴り響いた。

「!!」

 その音に驚いたヒヅキが慌てて周囲に目を向けていると、閉じていた扉がひとりでに開く。

「一体何が……」

 周囲を警戒しながらも、ヒヅキは開いた扉に目を向ける。しかしそこは、何も無い狭い部屋。数人が立っているのがやっとといった部屋の狭さだが、ヒヅキは外から確認した後に恐る恐る中に入っていく。

 僅かに沈んだような感覚が足下から感じるも、直ぐにそれは無くなる。

(う~ん……この感じ何処かで経験したような?)

 扉の横に数字の並ぶのを見つけたヒヅキは、一連の出来事を頭に思い浮かべながら、何処かで似たようなモノを経験した気がすると頭を捻る。その横で、フォルトゥナが2と書かれた数字に触れる。そうすると、開きっぱなしだった扉が勝手に閉まった。

 扉が閉まって直ぐに浮遊感に襲われたヒヅキは、そこでエルフの国で上に行くのにこんな感じの装置が在ったなと思い出す。という事は、これもそういった類いの物なのだろう。

 ウィンという駆動音が数秒続いた後、またポーンという軽快な音ともに扉がひとりでに開いた。

『ここは?』

『おそらく2階かと』

 ヒヅキの問いに、フォルトゥナが答える。装置の外に出てみると、似たような廊下が目の前にあった。

『2階も同じなのか……』

 うんざりとしたような声音でそう言った後、ヒヅキは現在地を確認する為に、少し進んだ先に在った窓の傍に寄る。

『確かに2階のようだね』

 装置に乗る前よりも視線の高い外の景色に、ヒヅキはそう呟く。そして、転移魔法陣が在ったのが1階だったのが分かった。窓から顔を出した時に地面が近かったのでそうだとは思っていたが、高さに関しては幻ではなかったようだ。おそらく。

 外の景色を確認した後に左右に伸びる廊下を見てみるも、何処までも続く廊下は変わらないらしい。その事に思わずため息をついてしまうヒヅキ。

 次にどちらに進むかだが、2階はどちらも探索していないので関係ない。

 少し考えたヒヅキは、2階を探索するよりもまずは途中だった1階の探索を続行する事にした。

 階層を移動する装置――フォルトゥナ曰く昇降機らしい――に乗って再び1階に戻ってきたヒヅキは、そのまま探索を再開する。

 相変わらず廊下は何処までも続いていて、大分歩いたというのにまだ先が見えない。途中に在る部屋も何も無い部屋ばかりで、もしかしたら1階は全てこうなのではないかと思えてくる。

(玄関はないのだろうか?)

 一応部屋に隠し扉や通路がないか調べはしているが、今のところ昇降機以外は全て同じ。玄関については、建物の周囲が何も実在しない幻覚らしいので、外に出る必要が無いから存在しない可能性もあった。

 そんな事を考えながら進みつつ、ヒヅキはフォルトゥナに女性達の居場所が分かるか尋ねてみる事にする。

『フォルトゥナ。女性や英雄達が何処に居るか分かる?』

『英雄達の一部だけなら』

『これだけ移動しても見かけないけれど、何処に居るの?』

『3名がもう少し先に。後2階に数名は居るようです』

『なるほど。ありがとう』

 まだ探索は終わっていないという事だろうと思ったヒヅキは、まずはその3名の英雄達が居るというところを目指してみる事にする。何か目標がないとやる気が無くなりそうだった。

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