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神域への道30

 窓から外の様子を確認した後、窓を閉めたヒヅキは天井の方に視線を向ける。廊下の天井は高いが、明るいのでよく見える。それは継ぎ目のない天井だった。

 そのまま視線を前後させてみるも、何処まで視線を向けても天井に照明器具のような物は見当たらない。かといって、換気口のような穴も無さそうだ。

(これだけ明るければ照明器具は必要なさそうではあるが……ここにも夜が無いのかな?)

 白の世界からこっち、何処に行っても明るい世界ばかりだったので、ヒヅキは自然とそんな事を考える。普通に考えれば、照明器具が無いから夜が来ないというのはおかしな論法なのだが、最近はそういう世界ばかりなので流石に慣れてしまった。そもそも明るいだけで朝や昼もあるのか疑わしいところ。

 天井から正面に視線を向けたヒヅキは、廊下を歩いていく。少し移動したところに在る部屋を覗いてみると、横幅だけではなく奥行きもかなり在る広い部屋であった。本当に1軒家の1階部分をそのまま持ってきたような広さには驚くが、その部屋には何も置かれていないようで、がらんとしていた。

 建物内で実験器具らしき物などが多数発見されているので、ここは何かの研究施設ではないかと推察されている。なので、部屋を見ていけば何処かで何かしらの実験器具を発見出来るだろう。

 そう思い、ヒヅキは廊下を少し歩いては、採光の為なのか廊下に面した側に造られている窓から部屋を覗く。しかし、転移魔法陣の近くには何もない部屋が続くばかり。

 廊下も窓と部屋が一定の間隔で設置されているだけなので、歩いているだけだと段々と飽きてきてしまう。

(それにしても長い廊下だ)

 部屋ひとつが家1軒分ほどの横幅があるので、幾つも部屋を確認したヒヅキは既に結構な距離を歩いている。しかし、廊下の端は未だに霞んでいて見ないほど遠い。

 一体どれだけ大きな建物なのだろうかと思いながらも、ヒヅキは部屋をひとつひとつ確認していく。今のところ階段や横道は発見出来ていない。それどころか、先行している英雄達や一緒に来たはずの女性の姿さえも見当たらなかった。

(少し部屋を出るのが遅れただけでどれだけ先に行っているのやら。この辺りは調査済みだから駆け抜けていったのか? それとも別次元でも探しているのだろうか?)

 誰も見当たらないので、ヒヅキは不思議に思いながらそんな考えを抱く。そこでふと閃き、ヒヅキはフォルトゥナに尋ねてみる。

『フォルトゥナ。ずっと同じような景色だけれども、同じ場所をぐるぐる回っていたりしないよね?』

 ここは今代の神のお膝元。であれば、何が起きてもおかしくはない。なので、気づかない内に同じ場所をぐるぐる歩かされているのではないかとヒヅキは考えたのだった。次元を繋げれば不可能な芸当ではないだろう。以前にそんな感じで最奥から入り口に戻された経験をヒヅキは遺跡でしていた。しかし。

『………………いえ、同じ場所を回っているという感じはしません。念のために何処かに目印でも付けてみますか?』

 周囲を探るように視線を向けやフォルトゥナは、ふるふると首を振ってヒヅキの考えを否定する。ついでに自身の能力では察知出来ていない可能性を考慮してそんな提案も付け足す。

 フォルトゥナの提案に少し思案したヒヅキは、やってみるだけやってみようかと光の剣を現出させると、近くの壁を斬りつける。

「む?」

 光の剣で傷を付けた壁と手を交互に見て、ヒヅキは眉根を寄せた。

(硬いな)

 岩でもほとんど抵抗なく斬れる光の剣だが、今し方壁を斬った時にそれなりに手応えを感じた。つまり、ここの壁は光の剣に少し抵抗してみせたという事になるのだろう。

 しばらく傷を見詰めてみたが修復されていく様子はなかったので、目印としては機能しそうだ。それでも他にも用意していた方がいいだろうから、足下に背嚢から取り出した歪な形の石を置く。ついでに光球も出してその場に留まらせた。魔力を多めに籠めながらも、出力を限界まで下げているので、放置していても数時間ぐらいなら光り続けているだろう。

 そうして目印を設置した後、ヒヅキは廊下を進んでいく。その後もやることは変わらず、部屋を覗いては廊下を進む。ただそれの繰り返し。

 部屋は相変わらず何も無いが、しばらく進んでも目印は見えてこない。1部屋1部屋が広いので、繰り返している道がよほど長い距離なのか、それとも本当に繰り返している訳ではないのか。その答えは、何か変化が訪れなければ分からないだろう。

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