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神域への道28

 戻ってきた二人が女性に調査結果を報告する。一人が主に説明して、もう一人がその説明の補佐をしている。クロスを含めた数名が戻ってきていないが、おそらく未だに調査中か、転移先の魔法陣を護っているのだろう。

 報告が終わると、女性が第2陣に準備を促す。第2陣の役割は、転移魔法陣の護りや第1陣の補佐、それとより広範囲の探索となっている。それだけに、人数は第1陣の倍以上の10名ちょっと。それだけに転移魔法陣に乗るのも窮屈そうだ。ヒヅキ達残りの者達は、第2陣が報告に戻ってきた後に順次転移していく予定。

 第2陣が準備している間に、第1陣の報告にやってきた二人は先に向こう側へと戻っていく。

 それから少しして、準備を終えた第2陣全員が転移魔法陣の上に乗って一気に転移していく。その様子はやはり窮屈そうだった。

 ヒヅキ達は引き続き魔導の修練を行う。そうして修練をしていると、暇になったのか女性がやってきた。

「随分と上手くなりましたね」

 ヒヅキの横にやってきた女性は、ヒヅキが魔導を構築しては崩している様子を眺めてそう口にする。

「ですが、まだまだですよ」

 そう答えたヒヅキは、横目にフォルトゥナの方へと視線を送る。そこにはヒヅキ以上に巧みに魔導を扱うフォルトゥナの姿があった。それに、どこまで鍛えれば戦いで使い物になるのかが分からないので、何とも言えない。

 そのヒヅキの視線に気がついた女性も、フォルトゥナの方へと視線を送る。

「あれと競うのもどうかと思いますが……むしろ、ほぼ同じぐらいの成長速度のヒヅキの方が私は凄いと思うのですが」

 何とも言えない表情をヒヅキに向けて、女性はそう告げた。

 というのも、フォルトゥナは魔力視を持ち、魔力に対して極めて適性が高いエルフであり、またその中でも特に才能に恵まれている。それでいながら英雄でもあるのだ、言ってしまえば規格外の化け物。ただの人間でありながら、そんな相手に競争心を抱き、更には実際に競えているというヒヅキの方が実は異常なのだ。

 ヒヅキは確かに少々特殊ではあるが、その特殊性を除けば常人の枠に入る。そんな人物が才能の塊のような人物に対抗している。現在のヒヅキの状況は、つまりはそういう事だ。もっとも、フォルトゥナに魔力視があるように、ヒヅキはあり得ないぐらいに鋭敏な魔力への感性があるのだが。魔力と魔素は似て非なるものなれど、やはり根本の部分では似ているという事なのだろう。

 そんな話を少しした後、女性は時間までヒヅキに魔導の指導をする事を提案する。それは願ってもない提案だったので、ヒヅキは直ぐに快諾して指導を頼んだ。

 それから女性はヒヅキに魔導の指導をしていく。第2陣の調査は、第1陣の調査よりも広範囲なうえにより細かな部分まで調べていくので、どうしても第1陣の時よりも時間が掛かる。その間の暇な時間を女性が指導に当てた事で、ヒヅキの魔導の腕は急速に伸びていく。やはり誰かに指導してもらうというのは、一人で手探りしながら修練するよりも遥かに効率がいい。

「やはりヒヅキは筋がいい。魔力に敏感なのも手伝っているのでしょうけれど、魔導にも才能が有ったのかもしれませんね」

 みるみる成長していくヒヅキに、女性は感嘆とも取れる声音でそう告げる。

「昔、魔素がまだ一般的に使われていた時代でも、この数時間の指導だけで数年は掛かる内容が終わるような人物はほとんど居ませんでしたね。居ても英雄とかの規格外だけです」

「そうなのですか」

「ええ。やはり感覚というのは大事なのですね」

 女性はしみじみとそう語る。魔力に対する感覚というのは、ヒヅキの自前の才能であった。それが急速な魔導の習熟に作用しているというのであれば、それはヒヅキの才能という事になるだろう。もっとも、他が一切作用していないという訳ではないのだろうが。

 それからも女性が指導を行い、ヒヅキはそれをどんどん吸収していく。その途中で何か問題が発生するという事もなく、魔導の修練は第2陣の一部が調査報告に戻ってくるまで続けられた。

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