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神域への道22

 そんな事を考えながらも、道中は全て魔導の修練の時間に当てた。少しでも成長しなければ、この先はないだろうから。

 そうして進んでいると、とうとう灰色の世界の終点に辿り着く。いや、それを終点と言うのか始点と言うのかは人に依るのだろうが。なにせ、広い空間を囲むようにして幾つもの歪みが並んでいるのだから。

 歪みの大きさは、ひとつが一般な家の扉よりひと回りぐらい大きいだろうか。今まで見てきた歪みの中では小さい方だろう。

 そんな歪みが左右にずらりと並んでいる。奥の方にも並んでいるので、まるで歪みで作った部屋のようだ。その歪みの先に何があるのかヒヅキでは分からない。全て同じ場所に繋がっているのか、それとも個々で別の場所に繋がっているのか。

 空間の歪みを眺めながらヒヅキがそんな事を考えていると、女性が近くの歪みの前に立った。そうすると、歪みが消えて代わりに何処かの風景が映し出される。だが、もやが掛かったようにぼやけて見えているので、それは風景の色合いがなんとなく分かる程度。

 そのまま少し女性は風景を眺めた後、次の歪みの前に立つ。女性が離れると、先程の風景は歪みに戻った。しかし、英雄達がその前を通ると、再び風景を映し出す。どうやら歪みの前に立つと風景が切り替わるようになっているらしい。白い世界から箱庭の草原に移動した時みたいに、移動先の風景を映し出しているのかもしれない。

 女性が正面に立った別の歪みの方に視線を向けてみると、先程同様に歪みが消えてもやが掛かったようにぼやけて見える。相変わらず色合いぐらいしか分からないが、それでも先程の歪みの先とは違うのが分かった。

(という事は、この歪み全てが別の場所に繋がっているという事だろうか?)

 それが事実だとすると、それは非常に面倒な話だった。それでいながら、あの神の性格を考えると、大量にある歪みの中に正しい道が在るという保証はないだろう。

 さてどうするのかと、ヒヅキは女性に視線を向ける。ヒヅキでは全く分からないので、女性に任せることにした。

 視線を向けた先では、女性が英雄達に好きに行動させているところだった。ただし、歪みの先に向かうのは禁じて。

 その後はひとつひとつ正面に立ってぼやけている風景を確認していく。それで何が分かるのかと疑問に思うのだが、門外漢は黙っている事にした。

 とりあえず全ての歪みを確認し終わるまで時間が掛かりそうなので、ヒヅキはそれまで休憩という事にして好きに行動してみる。とりあえず、誰も立っていない歪みの前に立ってみたりした。

 ヒヅキが歪みの前に立つと、他と同じように歪みが消えて風景が映し出される。やはり色合いしか分からないが、草っぽい色合いが多い気がするので、何処かの草原かもしれない。

 そのまま横に移動して隣の歪みの前に立つと、先程まで見ていた風景が消えて歪みに戻り、目の前の歪みが風景に変わった。次の風景は濃い緑色が多いので、もしかしたら森の中かもしれない。

 こうして見ると、意外と色合いだけで分かるものなのかもしれないなとヒヅキは思った。無論、細かなところは分からないので、確実にそうだとも言えないし、そうだったとしても、歪みの先に何が待ち受けているのかも分からない。

 そうしてヒヅキも、次々と歪みの前に立っては風景を確認していく。ヒヅキでは何も分かりはしないが、それでもジッとしているよりは楽しい。魔導の修練の息抜きにもなるので、丁度良かった。

(空間に干渉するというのも魔導なのだろうか?)

 風景に変わる空間の歪みを眺めていたヒヅキは、ふとそんな事を思った。もしそうならば、もしかしたらヒヅキもそれを修得出来るかもしれない。もっとも、仮に修得出来たとしても使い道は無いのだが。

 今ならば歪みの調査に役立つかもしれないが、今から覚えるのでは流石に遅すぎる。ヒヅキはそれを残念に思いつつも、今は普通の魔導を扱えるようになる方が大事だなと思い直した。

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