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神域への道21

 長くも為になるクロスの話も、休憩の終わりで終了となる。丁度、実戦的な魔導の話から魔導の歴史の話に戻っていたところだったので、ヒヅキとしても丁度良いところであった。

 休憩後は、延々と続く灰色の世界の移動の再開。だが、ヒヅキにとってそれは都合のいい修練の時間。

 クロスから魔導について習ったので、それを基にヒヅキは修練していく。隣ではフォルトゥナも修練しているようだが、ヒヅキとはやり方が違うようだ。

 人には人のやり方というものがあるので、ヒヅキは少し観察して参考にする程度に留めた。観察した結果、どうやらフォルトゥナは魔素も視えるようになったようだと結論付けたから。

 そうして二人して魔導の修練に励んでいる間にも変わらず襲撃が行われるが、結果は変わらない。ヒヅキには魔導の観察という事で意味があるが、相手側にとっては足止めにもなっていないというのに、なぜ続けるのか不思議だった。実力を測るという訳でもないだろう。

(あの程度では消耗を狙ってという訳でもないだろうし、まだ今代の神の趣味と言われた方が納得出来る。それか、そういう世界なのか)

 一定の地点を過ぎた相手に対して自動で迎撃が行われるというのも考えられる事だろう。もしくは灰色の存在には意思があり、近づいてきた見知らぬ相手に襲い掛かっているとかだろうか。何にせよ、無意味なうえに面倒ではあるのだが。

 それでもヒヅキが煩わされている訳ではないので、まぁいいかと修練に戻る。

 ヒヅキは襲撃があるたびに修練の手を止めて魔導を観察した。そうしながら修練を続けていると、少しずつだがより形が鮮明になってきたような気がしてくる。

 それから大分歩いたところで、休憩になった。かなりの距離を移動しているというのに、相変わらず灰色の世界はかなり広いらしい。

 ヒヅキ達がいつも通りに少し離れた場所に防水布を敷いて休憩していると、今度は女性が訪ねてきた。何の用だろうかと思うと、クロスと同じ用事だった。もっとも、最初にクロスが何の話をしたか訊かれたが。

 ヒヅキが端的に纏めて女性に話すと、女性は納得したように頷いた後に何かしら考えるような間を置く。その後、女性からも魔導を教えてもらった。幾つかクロスと同じ魔導ではあったが、それでも幅が広がったのは間違いない。それに、女性はクロスのように歴史についてはあまり語らなかった。語っても必要な時に必要な部分を話すだけ。

 ほぼ全て実戦的な話をした女性は、立ち去った後に休憩を終わらせた。

 その後の移動もやはり修練の時間。クロスだけでなく女性からも話が聞けたので、魔導の腕はかなり上達した。もう灰色の何かの襲撃程度であれば、女性や英雄達のように一蹴する事が出来るだろう。

 それでもまだ途上なので、ヒヅキは修練に手を抜かない。ちらと隣のフォルトゥナに意識を向けてみるが、かなり真剣な様子で話し掛けにくい。

 まぁいいかと思いながらも、ヒヅキはフォルトゥナの魔導の実力がどれぐらいまでになったのだろうかと少し気になった。何となくもう魔導でも追い越されているような気がした。

 今更それでも問題ないかと直ぐに思い直すと、ヒヅキは魔導の修練に集中していく。

(何処かで1度思いっきり魔導を放ちたいけれど、流石にな……)

 ある程度習熟したところで、ヒヅキにそんな考えが浮かぶ。ただ、威力や範囲などよく分かっていないので、そうむやみやたらと放つのは難しいだろう。

 しょうがないと理解しつつも、ヒヅキは何処かで思いっきり魔導を使えないかなと思ったのだった。場所としては、何も無い灰色の世界はうってつけではあるのだが、単独行動中ならまだしも、現在は流石に厳しい。しかも周囲に何が在るかも分からないので、むやみに強い力は使えなかった。

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