表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1356/1509

神域への道19

 それから2度の襲撃を受けた。反省を生かし、その2度とも灰色の何かがやってきた時に気づいたヒヅキは、それが殲滅される時をしっかりと観察する。

 ある程度感覚を理解してから観察すると見え方が違うようで、その2度の観察でヒヅキは何かを掴めた気がした。

 その後は試行錯誤を繰り返す。そうして幾度も繰り返していく内に、魔素を集める事に成功する。まだ無駄が多いとはいえ、大きな一歩だろう。

 魔素が集まれば早速魔法のようなものを試す、という訳ではなく、まずは魔素について調べていく。魔素は細かいので、ある程度集めて密度を高めた方が観測しやすい。

(……初めてとはいえ、扱いにくいな)

 集めた魔素を試しに動かしてみたヒヅキだが、まるで固まっているかのように動かすのが重く、集めた空間内で循環させるだけで一苦労。魔力では初めてでもそこまで苦労する事はなかっただけに、魔素の扱いにくさが分かるというものだろう。

 それでも諦めずに魔素について調べていく。ヒヅキにとっては未知の存在だが、魔力とまるっきり性質が違うという訳ではないようで、それを取っ掛かりにして、なんとか調べる事が出来た。

 灰色の世界は随分と広いようで、まだ終わりが見えてこない。女性が休憩を言い渡すと、ヒヅキは防水布を敷いて休みながらも、魔素の扱い方を調べていく。

 あれやこれやと考えては試すというのは結構楽しいもので、手探りという苦労も全く苦ではない。それに、意外とヒヅキはこういうのが性に合っているのか手際もいい。

 休憩が終わる頃にはある程度は魔素が扱えるようになっており、そこまでいけば魔素についても分かる事が大分増えた。おかげでより効率的な魔素の収集方法も考え付き、そろそろ次の段階に進んでもいい頃合いとなる。

 次の段階とは、勿論魔法のようなものである。ヒヅキは魔法は扱えるので、その時の感覚を参考に行っていく。

 魔素を用いた魔法のようなものは大半が未知の部分なので、魔法と同じものが行使出来るとは限らない。現に灰色の謎の存在を殲滅した際に行使されていた魔法のようなものは、ヒヅキの知っている魔法の中に該当するものは存在しなかった。

 それでも中には似たようなモノも存在すると信じて、安全性を重視した魔法を参考にして、魔法のようなものを形にしていく。

 そうして幾度も失敗を繰り返しながらも、ヒヅキは徐々にコツを掴んでいく。やはり魔法という技能を習得していたというのは大きい。魔力と魔素は似て非なるモノだが、共通点も非常に多い。おかげで魔素への理解も早かった。

 後は形にするだけだが、後1歩が足りていない感じ。根を詰めすぎてもいけないので、少し休憩しようと思い、前方に視線を向ける。そうすると、ちょうど灰色の何かが遠くに見えてきたところであった。

 しばらくすると、灰色の何かとの距離が近くなる。相変わらず襲ってきているようだが、学習能力が無いのかいつも通りに正面からの突撃である。

 一応周囲を見回すも、敵影は無い。正面突破でどうにかなるものでもないので、ヒヅキは殲滅する際に行使されるであろう魔法のようなものに意識を向ける。

 そうして行使された魔法のようなものは、魔素を扱えるようになってきたヒヅキでも理解する事が出来た。知っていると簡単に分かるようなもの代物なので、感覚というものは結構いい加減なものなのかもしれない。

 理解出来たところで、ヒヅキは早速魔素を使って魔法のようなものを行使してみる。行使するのは簡単な風の魔法を参考にしたもの。念の為に誰も居ない後方目掛けて行使する。

 魔力を参考にして使用する魔素を少なくしてから行使してみる。最初の数回はこれまで通りに上手くいかなかったが、それでも手応えのようなものは感じていた。

 その感触を基に魔素の量を調整していく。何となくではあるが、魔力と同じ感覚で行使すると大変な事になりそうな気がした。

 そうして微調整をしながら、このままいけば完成するだろうと手ごたえを感じたところで、風の魔法のようなものが完成する。後方に吹いた風は前髪を揺らす程度の弱弱しいものではあったが、それは魔素の量をかなり少なくしたからに過ぎない。単純に威力を比べれば、魔法の数倍はありそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ