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神域への道4

 下準備を済ませたら時間を置かなければならない。先程の結果から暫定的な時間を割り出しているとはいえ、情報が少ないので正確性に欠ける。かといって、ずっと見ているのも疲れるだろう。いや、フォルトゥナであればそれも問題ないのかもしれないが。

 フォルトゥナは1度周囲を見回し、まだゆっくりしていても問題なさそうだと判断したところで、観察を続行する。

 ヒヅキもまだ寝ているようなので気にせず花の観察を行っていくも、やはり時間が掛かるようで、直ぐには変化が訪れない。

 そうしてしばらく観察していると、徐々にだが花の光が弱くなっていっているのを発見する。光が弱まっているのは、引き抜いた花の両方共。見比べてみると、光が弱くなる速度にそこまで差が無いようなので、魔力を通したかどうかは関係ないようだ。引き抜かないで魔力だけ通した花は、変わらず元気に光を放っている。

 その結果を確認したフォルトゥナは、植え直した花の方に視線を向ける。

(やはり、1度光を失ってしまったらそのままという事なのでしょうか?)

 光を失ったままの花にフォルトゥナはそう思うも、まだ観察は始まったばかり。光を失うのと取り戻すのが同じ速度とは限らない。光を失っている以外には花は元気なままだ。

 フォルトゥナの認識としては、光を失った花は一般的に萎れた花という感じではあるが、それでも光を失った直後にまた植え直したので、もしかしたらという想いはあった。引き抜いて萎れた花でも、時間が経っていなければ何とかなる事もある。

 もっとも、フォルトゥナも可能性が在る程度であまり期待していないので、まだ光を取り戻していない花から、光を失いだした花に視線を移す。

(まるで周囲に光が溶けていくようですね)

 光を失っていく過程を観察していたフォルトゥナは、そう感想を抱く。それは光が段々と小さくなるというよりも、光が周囲に滲むようにして消えていくのだ。まるで水に入れた塩の塊を安置していると、じわじわと水に溶けていくような、そんな奇妙な光景だ。

 ただ、やはりというべきか、そんな様子なのに魔力は一切感じない。つまりは魔法という訳ではないのだろう。

 光の正体について思案してみるも、発光する植物のようなものとも異なるのだろうと推測出来る。ではなにかと考えてみるも、答えは思い浮かばない。

(魔法とは違う力という可能性もあるのでしょうか?)

 もしかしたらフォルトゥナが知らない力という可能性もあるが、そうなると答えは出ないだろう。推測する以外に、知識の無い可能性にどう向き合えばいいというのか。

 全く答えが浮かばない間に、花の光はほぼ同時に完全に消滅する。これで、切断するか引き抜いて時間を置けば光が消えるという事は分かった。しかし、それだけしか分からなかったとも言える。

 植えたまま魔力を通した方を見てみると、そちらは変わっていない。つまり、魔力を通すことは花に何か影響を与えるという訳ではないらしい。

 そのまま光を失って植え直した花の方に視線を動かすと、そこには本当に微量ではあるが、光を取り戻している花が在った。

(つまり、光の根源はこの土? もしくはその下という事でしょうか? とりあえず光を失った花の2本も植え直しておきますか)

 フォルトゥナは、花を引き抜いた場所に光を失った花を植え直す。光を失っても、土に植えれば光が戻るというのは分かったし、それには失う時以上に長い時間が必要なのも先程判明した。もっとも、まだ微量な光しか発していないので、それが元の光まで戻るのかどうかはまだ分からないが。

 それでも少しは不思議な花について分かった。そこで思い出したフォルトゥナは、もう手遅れだと思いながらも、切断した花も植え直す。ついでに思いついたので、光っている花の蕾をひとつ切断して光を消してみると、そのままそちらも光が復活するのか観察してみる事にした。

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