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神域への道3

 フォルトゥナは思案しながら周囲へと視線を向ける。

 女性は道を探しているのか、ジッと立ち尽くしたまま微動だにしない。英雄達は落ち着いてきたようで、少し前までの騒がしさはない。

 周囲は何度見ても一面花畑。それも同じ種類の花で、見た目も全く同じ。それは不自然な光景のはずなのだろうが、不思議とそれが正しいような調和のとれた景色と化していた。まるで絵画でも見ているかのようとでも言えばいいのか。

 それ以外には、外縁を囲む岩の壁と上ってきた地下道へと続く階段があるぐらい。何かしら花について分かりそうなものは無さそうだった。

 そうして周囲を見回してみても収穫はありそうになかったので、フォルトゥナは手元の花に視線を向ける。

「……おや?」

 花に視線を向けたところで、フォルトゥナは花に光が灯っていない事に気がつく。

(いつの間に? 何故?)

 フォルトゥナは切断した方の花に視線を向けた後、必要なさそうだとそれを地面に置き、光を失った花を調べてみる。

 地面に置いた方と違い、残した方は蕾を切断していない。花を調べる為に触りはしたが、その時は何ともなかった。

「んー?」

 蕾の中の光を失ったという事を除けば、花自体は元気なようで、葉っぱも萎れていない。花としては問題なさそうだが、では何故光が消えたのだろうか。

(光量が極端に落ちた……という事もありませんね)

 蕾を手で覆って影を作ってみるも、僅かでも光っている様子は確認出来ない。顔を近づけて確認しても結果は同じ。

(考えられるのは……そうですね、仮にあの光を魔法の光として考えた場合ですと、まずは魔力切れでしょう。次に時間切れ。これは時間制限が最初から設けられていた場合ですが、周囲の花は今でも光っているようなので、可能性は低いでしょう。それか、引っこ抜かれるなどの特定の条件下ではそうなるかですが。あとは何かに吸収されたとか、魔力が減ったなどの理由で形を維持出来なくなって魔法が霧散したとかでしょうか)

 可能性を頭に思い浮かべると、フォルトゥナは次に手元の花と他の花の違いを考える。

(まぁ、おそらくこれは引っこ抜いたからでしょうね。べたべたと無遠慮に触れたからという可能性もありますが)

 そう思い、フォルトゥナは女性や英雄達の足下に咲いている花へと視線を向ける。女性や英雄達に触れている花は、周辺の花と変わらず光を放っていた。

 次に防水布の端を捲って下の様子を確認するも、こちらも潰れているのに光っていた。もっとも、潰れているが折れている様子は無く、防水布を捲った場所の花は直ぐに立ち上がる。

 フォルトゥナは手元の花の茎を曲げてみると、硬さが無いかのようにグニョンと容易に曲がった。それでいながら、手を離すと戻ってきてピンと真っ直ぐになるのだから奇妙なものだ。

 とりあえず、それだけしても問題はないということは分かった。であれば、光を失ったのは触れたからではなく引っこ抜いたからだと考えられるが、そこでフォルトゥナはもうひとつの可能性に思い至った。

(微量とはいえ、魔力を流したからとも考えられますか)

 そう考えたフォルトゥナは、ではどうすればいいかと考える。

(もしも引き抜いたのが原因なのだとしましたら、これをまた土に戻したら光が戻ったりしませんかね?)

 手がかりも無いので、今は思いついた事をとりあえずやってみる事にしたフォルトゥナは、手元の光を失った花をそのまま土に植え直してみた。

 それで直ぐに光が灯るとも思えないので、光を失った花を土に植え直した後、別の花を2本引き抜く。そして、1本には魔力を通し、もう1本はそのままにする。2本とも土から離す為に、丁寧に土を取り除いた後に防水布の上に2本を並べて置く。

(これで後は少し時間を置けばいいでしょう)

 そう考えたフォルトゥナは、ついでに近くの花に植わった状態で魔力を流してみる。これで何かしら進展するかは分からないが、それでも何もしないよりはマシだろう。

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