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旅路146

 ヒヅキは慎重に近づいて何をしていたのか確認してみると、地面に大きな穴が開いており、そこには地下へと続く階段があった。

 女性はその階段を見た後、遠くの方に視線を向ける。階段が伸びている方角だったので、何処まで続いているか確かめたのだろう。

 そうした後に視線を穴の方に戻すと、女性は休憩を終える事を告げた。

 休憩を終えて全員が整列すると、女性を先頭に一行は階段を下りていく。

 階段の入り口は人一人が通るので精一杯という広さではあったが、長い階段を下りると五人程度なら横並びで通れそうな広い通路に出る。天井も高く、閉塞感は全く感じない。

 闇の中に伸びる道はどこまで続いているのか不明だが、不思議と空気は森の中よりも澄んでおり、地下道内の魔力濃度も丁度よくて息苦しさがなかった。

 女性が光球を出すも、照らせるのは精々周辺ぐらい。道の先は変わらず闇に包まれたまま。

 薄っすらと照らされた壁は、まるで水のような青白い光沢をしている。天井の方は高くて光がほとんど届いていないようで、よく分からなかった。

 足下は灰色をしていて、凹凸が全く感じられない。それだけで技術力の高さが窺えるが、果たしてここは何のために用意された地下道なのか、ヒヅキは女性の後に続いて歩きながら周囲に目を向ける。

(何と言うか厳かな雰囲気? いや、神聖な雰囲気と言った感じだろうか?)

 今まで調べた遺跡や地下空間などとは何処か異なる雰囲気に、ヒヅキの頭にそんな言葉が思い浮かぶ。地下道の全容は未だに窺えないものの、今までとは違うというのは何となく理解していた。

 足下に視線を向けてみると、段々と傾斜が急になっていく。暗い中とはいえ、どうやら下っているようだ。

 しばらく歩くと、急というほどではないが、それでも少し下に引っ張られるような角度になってくる。この先に一体何があるのか、それを思えば少しだがヒヅキも緊張してくる気がする。

 更に歩くと傾斜が緩くなり、道が平坦になってきた。しかしそれも少し進むと終わり、今度は徐々に上り坂へと変化していく。

 段々と角度がついてくる道をしばらく進み、下った以上に上ったのではないかというぐらいに進んだところで、道が平坦になった。

 それから少し進むと、また通路の広さに反して狭い階段が現れる。

 その階段を女性を先頭に一列になって上ると、天井付近まで上ったところで天井の一部が音も無く動き、外の光が入ってくる。

 眩しさに目を細めながらも、ヒヅキ達は階段を上りきって外に出た。

「ここは……」

 そこは入り口同様に花畑だった。しかし、向こう側は色とりどりの花が咲いていたが、こちらは薄水色の儚げな花ばかりが一面に咲いている。

 それに、花畑は広い場所なのだが、その周囲はゴツゴツした岩の壁で囲まれていた。それ故に外からこの花畑の様子は確認出来ないだろう。

 ついでにヒヅキは、その岩壁に魔法の気配も感じていた。それを探ってみると、おそらく障壁の類いだろう。それだけこの場所が重要な場所ということなのだろうが、ヒヅキにはただの花畑にしか見えない。

 フォルトゥナにも確認を取ってみたが、見解はヒヅキと大して違いは無かった。唯一違ったのは、花畑を覆うように展開されている障壁は、防御だけではなく幻覚の類いの効果もあり、外からでは認識出来ないようにしているのではないか、という部分ぐらい。

 つまりはより重要度が増したとも言える結果であったが、フォルトゥナもここが何の為の場所なのかまでは分からないようであった。

 英雄達全員がその花畑に出たのを確認した女性は、全員を集めて告げる。

「おそらくこの場所が、今代の神の居る世界へと続く道が在る場所です。なので各自しっかりと休憩をし、戦いの準備をするようにお願いします」

 女性のその言葉に、英雄達の纏う雰囲気が瞬時に変わったのがヒヅキにも分かった。

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