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旅路138

 部屋の中を歩き回って、天井を調べていく。といっても、フォルトゥナの感知魔法は範囲がかなり広いのでそこまで歩く必要はなかったが。

 それに加えて、感度も亀裂が分かる程度でいいので、感知範囲の方にやや重点を置いたことで更に歩き回る必要性が低下していた。

 元々今すぐ崩れないかどうか気になっていただけなので、それで十分だった。どうせ直ぐに次へと移動するだろうから、細かなヒビなどは気にする必要はないだろう。

 そうして部屋全体を確認した結果、今すぐ問題になりそうな場所は確認出来なかった。ならば問題ないかと、ヒヅキは安堵する。そろそろ休憩も終わりそうなので、ヒヅキ達はそのまま英雄達に合流する。

 ヒヅキ達が戻ってきた時には、そろそろ休憩を終えるかというぐらいだった。それでも少し時間が出来たので、ヒヅキは前回の休憩時に忘れていた水筒の補充を行った後、邪魔にならないように光球を消した。周囲には女性が出している大量の小さな光球が英雄達を囲むようにして浮かんでいるので、ある程度の範囲は暗くない。

 それでも、なんとか足下が見えるぐらいの明るさなので、気をつけないとちょっとした凹凸に躓くかもしれない。

 ヒヅキが光球を消して程なくすると、移動を再開する。歩き回って調べた結果、この広大な部屋には出入り口が何ヵ所も存在するようだった。そのどれも小屋が前に置かれていたが、女性はその内のひとつに向けて移動しているようだ。

 しばらく黙々と歩き、小屋が見えてくる。相変わらず小さな家で、寝泊まりする以外に使い道はなさそうな家だ。中には大きな小屋もあったが、どうやらこの辺りは塞いでる出入り口の大きさに比例しているらしい。

 つまり、現在向かっている小屋の規模であれば、その先の通路は人一人が通れる程度の広さということだ。無理すれば二人並んで通れるかもしれないが、それは流石に狭すぎる。

 なので小屋に着いた後は、全員1列になって通路を進んでいく。

 通路は洞窟のようなという訳ではなく、丁寧に石を積み重ねて並べた通路となっていた。他の部屋や通路もだが、かなり進んだ技術を有した者達が築き上げたのだろう。

 それに興味が無いと言えば嘘になるが、ヒヅキは調べたところで意味がないと判断し、その好奇心を棄てる。

 光球が照らす通路はひたすらに真っすぐで、上が砂漠とは思えないほどひんやりとした空気が漂っている。やや湿気っている気がするのは地下だからか、それとも何処かに水源でもあるのだろうか。

 それから少しして、何度か曲がり角が姿を現す。それを過ぎると、少し広い部屋に出た。その場所の奥の方にはやや大きめの門が在った。

 門に近づくと何かの絵が描かれていたが、こちらも大部分が剥げてしまっていて判読不能。それを気にせず近づいた女性は、軽く門を叩く。

「………………」

 それで鈍い音がしただけ。ここに来た時の状況を考えれば、もしも門の先が建物の外なのであれば、門の外側はぎっしりと砂が詰まっている事だろう。

 どうするのだろうかと思いながらヒヅキが見ていると、女性は門扉に触れたまま魔法を発動させる。どうやら門越しに何かの魔法を行使したらしい。

 程なくして、女性は1度振り返った後に門の先に消えていく。毎度のように門を一時的に別の場所に移したのだろう。それで砂が流れ込んでこないという事は、門の先の砂をどうにかしたという事か。

 ヒヅキは女性の後を追って門を透過する。その先には高い砂の壁に挟まれた道が出来ていた。しかもご丁寧に砂を固めた階段付きで。

 今にも砂が崩れて埋もれるのではないかと思ってしまう圧迫感を感じながら、ヒヅキは階段を上っていく。階段はまるで石の階段なのではないかと思える程に硬いが、見た目はやはり砂である。

 少し長い階段を上り終わると、地上に到着する。そこには先行した女性が待っていて、足下の砂が固められていた。

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