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旅路137

 結果からいえば、ヒヅキ達が休憩している部屋はとんでもなく広かった。それでいながら不可解な部屋。

 部屋の広さは縦横ともに数10キロメートルもあり、天井までの高さも数10メートルはあるだろう。壁際には記号や模様を組み合わせた絵のようなモノを集めた帯状の太い線が、広大な部屋を1周して描かれていた。それについては詳細は分かっていない。

 ヒヅキ達は壁に沿って部屋を1周した後、部屋の中の方も急ぎ足ながら調べてみたのだが、その結果にヒヅキは首を傾げた。

(これだけ広大な部屋だというのに、柱の数が少なすぎるな)

 大きく開けた空間だが、そこに在るべき柱の数が明らかに少ない。柱の1本1本は確かにかなり太く、見るからに頑丈そうな柱ばかりではあるが、それでも広大な部屋を支えるには心許ない数しかない。

 仮に昔はそれでも大丈夫だったとしても、今はこの部屋の上には大量の砂が乗っかっているはずで、そうなるといつ潰れてもおかしくはないだろう。

 しかし、今のところは無事。それこそ、かなりの年月が経っても別の部屋で天井の一部が壊れて砂が押し寄せてきた程度でしかない。なので、不自然でも問題は無いという事。

 それでも疑問に思ったので、ヒヅキはフォルトゥナに尋ねてみる。

『この部屋は柱が少ないけれど、それで何故崩れないか分かる?』

『はい。推測ではありますが、まずそこの柱の表面をご覧ください』

 そう言って、フォルトゥナはちょうど近くに在った柱を指差す。

 それにつられるようにヒヅキも顔を柱へと向けると、フォルトゥナの言葉に従い柱の表面を観察するように視線を向ける。

『柱の表面に何かが刻まれている?』

 細い線ではあるが、確かにそこには何かが刻まれているようであった。掠れているようでよくは見えないが、それでも壁に描かれている模様に似たようなモノがあった気がした。

『これはあの首輪やここの壁と同じで魔法が刻まれているようです。この刻まれている魔法が何かまではまだ解りませんが、それでも状況から推測するに、この部屋は壁も柱もこれで崩れないように強化されているのでしょう。他にも何か在るのでしょうが、そちらについては情報が不足していて何とも言えません。そして、残念ながらここからでは確認出来ませんが、天井にも同様のものが施されている可能性は高いでしょう』

『なるほど。ありがとう』

 フォルトゥナの推測に納得しつつ、そうなるとかなり長い年月が経っても問題ないのだなと思う。だが、同じ仕掛けが施されていた可能性が在る別の部屋で天井の一部が崩れてしまっているので、もしかしたらここもそろそろ寿命なのかもしれない。そう思うと、途端に天井の様子が気になった。柱も大丈夫だろうかと思うも、見た範囲ではヒビや亀裂のようなものは確認出来なかったので、柱の方は大丈夫そうではある。

「………………」

 ただ、やはり確認出来ていない天井の様子は気になってしまう。気のせいだと思いたいが、楽観視するのも危険だろう。

『フォルトゥナはここからだとどのぐらい天井の様子が分かる?』

『細かな部分を除けばある程度は、といったところでしょうか』

『じゃあ亀裂が入っているかどうかは分かる?』

『はい。ヒビ程度だと難しいかもしれませんが』

『分かる範囲で、天井にヒビや亀裂がないか調べてみてくれない?』

『畏まりました』

 フォルトゥナに頼みながらヒヅキも感知魔法で調べてみるも、そこに何かが在るのは分かっても、模様などの細かな部分は非常に感知が難しい。なのでヒヅキでは、数10メートル先に天井が存在しているぐらいは分かっても、そこに何か描かれているのかとか、意匠が凝らされているのかなどは分からなかった。

 それでも英雄達の魂を取り出す前よりは格段に精度や範囲が上昇しているので、この辺りはもう少し練習すればぼんやりとぐらいは分かるようになるかもしれない。

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