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旅路133

 ヒヅキは集めてみた残骸を手探りで繋ぎ合わせてみる。何処にいったのか、丁寧に探して集めてみてもところどころが欠けてはいるものの、それでも大枠では形が出来上がっていく。

「これは……」

 そうして完成したモノを見て、ヒヅキは何故こんなものがと首を傾げる。そこにあったのは、どうみても首輪であったから。

(ここで何かを飼育していたという可能性もあるにはあるが、ここは暗所だしな。まぁ、そういう場所で生息しているのも居るのだろうが。後はここが収容所か何かだったという可能性か。いつぞやの神殿の時のような場所でなければいいが)

 ヒヅキはそんな事を考えながら周囲を見回すも、やはり残骸以外は何も見当たらない。

(首輪は粉々に壊れ、そしてこの部屋には骨もないという事は、ここに居たと思われる何かは逃げたのか?)

 どうでもいい事ではあるが、ヒヅキはそんな事を思う。しかし、そこで最初に扉が開いた時に出てきた白い何かについて思い出した。

(いや、しかし……)

 フォルトゥナを透過していたので、あの白い何かに実体は無かった。そんな存在を閉じ込めるというのであれば、何かしら仕掛けが必要であろう。調べた限り、ここに何かそういった仕掛けがあるとは思えなかった。

 首輪の方は何か魔法が施されていた形跡があるも、それも大分前のものらしく、魔力が通っていた痕跡が残っているだけ。という事は、たまたまこの部屋に入りこんでいたという可能性も考えられる。おそらくあの白い何かは、この部屋の頑丈そうな壁さえもすり抜けてしまうだろうから。

 だがそうなると、あの白い何かの正体は依然として不明なままという事になる。調べてみても首輪についてはよく分からない。首輪に施されていた魔法について女性に尋ねてみれば何か分かるかもしれないが。

 大枠だけ復元してみた首輪だが、接着した訳ではないので、少しでも動かすと崩れるだろう。なので、とりあえずそこに置いたまま部屋を出る事にする。首輪の復元にも少し時間が掛かったから。

 光球を消して部屋を出たヒヅキは、女性の許に移動して残骸に何かしら魔法の痕跡があった話をする。そのうえで、あれが何か分かるかと尋ねた。

「すみません。私では分かりませんね」

 申し訳なさそうにそう言った女性は、クロスなら何か分かるのではないかと続ける。

「クロスが?」

「ええ。この場所は彼の死後の物らしいですが、それでも近い時代の物らしく、彼の時代の技術が使われているようですので」

「なるほど、そうでしたか。教えて下さりありがとうございます」

 そう言って軽く頭を下げると、ヒヅキはクロスの許に移動した。

「何か御用でしょうか?」

 近づいてきたヒヅキにクロスが尋ねる。ヒヅキの方から近づいてくる場合は何か用がある時だからだろう。

「はい。実は――」

 ヒヅキは部屋の中の残骸について説明していく。そのうえで、どんな魔法が残骸に施されていたのか、それとその技術について知らないかと尋ねた。

「現物を1度確認しなければ何とも」

 それももっともだと頷いたヒヅキは、クロスと共に部屋に戻る。

 部屋に入って直ぐに光球を浮かばせた後、ヒヅキはクロスを復元させた首輪の許へと案内した。

「なるほど。これは触れてもいいですか?」

 軽く突くだけで崩れそうなほど不安定な首輪なので、クロスはヒヅキに確認を取る。実質、崩してもいいか? という問いなのだが、ヒヅキとしては何の思い入れも無いので、それを許可する。

 それに礼を言ってクロスは首輪の上の方の残骸を幾つか手にすると、それを真剣な目で確認していく。

「ふむ。これは実体のないモノを捕らえておく道具ですね」

「実体のないモノですか?」

 白い何かの姿を頭に思い浮かべながら、ヒヅキはクロスに問い返す。

「はい。魔力などの力でしたり、魂のような存在でしたり様々ですね。捕らえるというよりは、繋ぎ止めておくという方が正しいのかもしれせんが」

「そんな事が可能なのですか?」

「不可能ではありません。ただ、かなり困難ではありますね」

「そうなんですね……」

「まぁ、これは効力を失って大分経つようですが。おそらく繋ぎ止めていた何かが自力で破壊したのでしょう。これを壊すとは、よほど強力な存在を捕らえていたようですね」

 続いたクロスの言葉に、やはりこの首輪とあの白い何かは無関係なのだろうかとヒヅキは首を捻る。

「因みに、これを使えばスキアも捕らえられますよ」

「そうなのですか!?」

「はい。理論上はですが」

「なるほど」

 スキアを捕獲する。ヒヅキ達であれば可能であろうが、普通は不可能な事だ。

 その後、クロスから首輪に施されていた魔法について話を聞いたが、難しい理論が大半を占めていたので、ヒヅキにはまだ早かったようだった。前提として、ある程度の魔法道具が作れるほどの知識を当然のように有しているというのも分からなかった原因であろう。

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