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旅路124

 女性が休憩を告げると、ヒヅキは何処で休もうかと周囲を見回す。そうしたところで、少し離れたところで積み上げられている鉱物が目に入った。

「………………」

 それを眺めたヒヅキは、ふと思い出して己の腕に視線を向ける。そこに嵌められている腕輪を目にして、ヒヅキは女性が金属を加工していたのを思い出した。

 積み上げられている鉱物は特別珍しいモノではないようだが、それでも何種類もの鉱物が置かれている。

 女性は金属の加工に火を使っていたのでここでは無理だろうが、それでも興味があった。それに、もしかしたらありふれた鉱物であれば簡単に加工出来るのかもしれない。ヒヅキが貰った装飾品はかなり希少な金属であったうえに、女性は加工もかなり難しいらしい話をしていた。

 今身に着けている物以外にもまだ装飾品は在るが、おそらくもう必要ないだろう。魔法を満足に扱えるようになったので風の結界は正直もう必要ないし、現在のヒヅキであれば、転移魔法も魔法陣を付加した魔法道具無しで問題なく扱えるようになっている。それも女性謹製の魔法道具を使用していた時よりも遠くまで転移可能だろう。もっとも、忘れ物を取りに戻るとかでなければ使用する機会はなさそうだが。

 それはそれとして、ヒヅキはまず女性に話を聞く事にした。いや、その前にフォルトゥナに訊くべきかと思い直し、フォルトゥナに声を掛ける。

『フォルトゥナは魔法で金属を加工出来る?』

『多少であれば可能です。ここに在る鉱物ででしたら、簡単な物ぐらいなら』

『なるほど。それはこの場でも出来る?』

『はい』

『なら、それを教えてくれない?』

『喜んで!!』

 という訳で、金属加工を魔法で出来るというフォルトゥナにそれを教えてもらう為に、ヒヅキは鉱物が置かれている場所に移動する。

 鉱物置き場には、未加工の幾種類かの金属が種類ごとに置かれていたが、ヒヅキではどれが何と言う金属なのかまでは分からない。分かる範囲で言えば、量が多いのは鉄と銅だろうか。他には少量ではあるが、銀らしき鉱石もある。だが、詳しい訳ではないので、やはり自信を持ってそうだとは言えなさそうではあるが。

 とはいえ、それはヒヅキの場合のようで、フォルトゥナは迷いなく幾つかの手頃な大きさの鉱物を手にすると、それをヒヅキの前に置いていく。

『それでは早速やっていきます』

『よろしくお願いします』

 フォルトゥナの言葉にヒヅキは軽く頭を下げる。フォルトゥナは鉱石をひとつ手に取り、手順を順に説明していく。

『まずはこの鉱物に魔力を流して掌握します』

 そう言うと、フォルトゥナは手にした鉱物に魔力を流していく。片手で掴める程度の大きさの鉱物なので直ぐに全体に魔力を通せるが、これが大きい物だと大変そうだなとヒヅキは思った。もしかしたら、その時はその時で何かしらの方法があるのかもしれない。

 もっとも、それはヒヅキだからの感想であり、普通は手頃な大きさの鉱物とはいえ、それを魔力で覆うように巡らすという時点で中々に難しい技術であった。

『魔力で中まで掌握した後は、鉱物から不純物を取り除きます。私は普段は消滅魔法を使用して不純物を取り除いていますが、今回は一般的な方法で行います』

 そう告げながら、空間収納から木の板を取り出してそれを地面に置くと、そのうえに手にしていた鉱物を置いた。

 フォルトゥナが木の板の上に鉱物を置くと、鉱物がプルプルと震え出したかと思えば、外側にくっ付いていた石や土がポロポロと零れ落ちていく。

 ひと回り以上小さくなった段階で震えが止まると、フォルトゥナは鉱物を手にした後に1度板をひっくり返して、板の上の石や土を地面に棄てる。その後地面に戻した木の板の表面を軽く払ってから、再度鉱物を板の上に置いた。

 木の板の上が奇麗になったところで、再び鉱物がプルプルと震え出したかと思えば、今度は氷が溶けたみたいに木の板の上に拡がる。

 その動きが止まると、今度は表面から石や土に別の金属などがポコポコ飛び出していく。それが止まると、溶けたみたいになっていた鉱物が元の形に戻る。そうすると大きさは大分縮んだが、それは見事な金属になっていた。

『ここまでが精錬ですね』

 そういって完成した金属をヒヅキに差し出すフォルトゥナ。

 それを受け取ったヒヅキは、出来たばかりの金属を確認していく。ヒヅキに金属の良し悪しなど分からないが、それでも奇麗だなとは思った。

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