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旅路123

 台地に辿り着くと、そのまま森の中に入る。上から見た限り、かなり大きい森であった。

 森の中は木々の間隔が広いのでその分だけ光が入ってくるようで、程よい明るさで遠くまで視線が通る。

 鳥の鳴き声もない静かな森の中というのもヒヅキはすっかり慣れたもので、その異常さを思い出さなければ、それが普通だと錯覚してしまうほど。

 一行は何かを話すでもなく、粛々と奥へと進んでいく。まだ必要ないとはいえ、今回は休憩もないようで、森の中を結構な速度で進んでいた。

 英雄達もすっかり今の肉体に魂が定着したようで、かなりの速度で進んでいても問題なく付いてくる。

 現在の速度は、ヒヅキが女性と二人きりで旅をしていた時よりもやや速いほど。それにヒヅキも問題なく付いていけているので、やはり変化に伴う身体能力の向上はあるようだ。以前でも付いていくのは問題なかっただろうが、それでも疲労の蓄積はしっかり感じていただろう。

 それに魔力量も大幅に増えているので、身体強化もその分強めに掛ける事が出来る。これにより、ただでさえ向上している身体能力を更に向上させる事が可能で、そこまでいけば、ヒヅキの後ろを付いてきている英雄達と比べても身体能力は遜色ないだろう。疲労もその分減るので、活動可能時間も大幅に延びた事になる。

(どんどん人を辞めていくな)

 元々あまり気にしていなかったが、自身の現状を考察したヒヅキは、そんな感想を抱いた。だからなんだという訳ではないが、英雄達の魂の大部分を摘出しても、その辺りは変わらないようだ。

 もはやそれを考えても、ヒヅキはふーんとしか思わない程度には感覚が狂ってはいるが、おかげで変に取り乱す事もない。記憶の侵食を意識し始めた頃に感じていた恐怖など、とうに忘却の彼方なのだろう。

 そんな事を考えては吸収した何かについて考え、自身の変化が他にもないかと考察し、何処かで仮眠を取った方がいいのだろうとも思った。そんな事をつらつらと考えている内に森の開けた場所に出る。

 そこには村が在った。規模としては小さく、見た限り50いや40戸も無いだろうほどに規模の小さな村だ。もしかしたらその半分程度の建物しかなかったかもしれない。もっとも、既に瓦礫と化しているので正確な数は分からないが。

 村だった場所に近づくと、木造の家がそこら中で倒壊して木片が飛散している。何か強大な力で弾き飛ばされたような派手な破壊の跡から、おそらくそれはスキアによる破壊だろうと推測出来た。

 村跡に入り見回してみるも、人の姿は無い。全てスキアに食べられたのだろう。

 ここではスキアの被害が出ているのだなと、村を横断しながらヒヅキは思う。最近は避難後の無事な場所の様子が多かったので、何だか随分と久しぶりに見た気がする。

 女性は村を素通りすると、再度森の中に入る。村は森の中の開けた場所に造られていたようで、女性の進行方向とは別の場所に森を切り開いた小さな道が伸びているのが確認出来た。

 再び森の中に入る。入った方面の森の木々などは村で使用されていたのか、そこら中に人の営みを感じる。切り株や整地された場所、獣道のように細い道も確認出来た。そこには確かに誰かが生きていたのだろう。

 しばらくそうやって周囲を観察しながら森の中を進んでいると、砂と石だらけの岩場に出る。周囲に意識を向けてみると、どうやら鉱物でも埋まっているようで、大きな穴が開いていたり、何かしらの鉱物だろう塊が積み重ねられているのが確認できた。

 その穴に足を取られないように気をつけながら先へと進む。やはり森はかなり大きいらしく、その場所もまた森の中の開けた場所。

 女性はしばらく進むと、穴の少ない場所で立ち止まり、全員に休憩を言い渡した。

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