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旅路116

 フォルトゥナに女性達の動向を聞いたヒヅキは、集合しているという広場へと向かう事にする。

 広場に向かいながらヒヅキは、結局街の散策は出来なかったなと思ったものの、先程までの散策も退屈ではなかったので良しとする。誰も居ない街というのも面白そうではあるが、仕掛けだらけの建物というのも珍しいだろう。

 広場に到着すると、既に英雄達の大半が揃っていた。ヒヅキは女性の姿を探してみたが見つからない。ついでにクロスも探してみたが、まだ居ないようだった。

 何処に行ったのかと思いながらフォルトゥナに尋ねてみると、二人共ゆっくりこちらに向かってきているところらしい。もっとも、女性とクロスは別行動をしているようだが。

 距離と移動速度からまだ少し時間が掛かるようだったので、ヒヅキは近くに在る初日に泊まった宿屋に向かう。

 宿屋の鍵は出る時に開けてあるので問題なく中に入る。

 入って直ぐの場所に在る受付から近くの部屋の鍵を取り、2階に上がって直ぐの部屋を使う。

 この宿屋は上に行くほど部屋数が減って1部屋が広くなるので、2階の部屋はこの宿屋の中で最も安い部屋なのだろう。中に入ると、一人用の寝台と荷物置きとして僅かに場所が確保されているだけの窓も何も無い狭い部屋であった。最上階との部屋との差が激しい。しかし、それでも流石は高級宿とでも言えばいいのか、寝台に使われている布や木などは良いものを使っているようだった。

 例の如くフォルトゥナが埃を部屋の外に出してくれたので埃っぽくない。外に出した埃は廊下の奥の方に捨てたようだが、問題はないだろう。

 ヒヅキは荷物を置いて寝台に横になると、フォルトゥナも一緒に寝転がる。一人用の寝台なのでほとんど抱き着くような恰好になるが、狭い部屋なので他に場所も無いうえにヒヅキも慣れたものなので、気にする事なく少し休む事にした。

 フォルトゥナに女性とクロスが広場近くまで来たら教えてもらう事にして、ヒヅキは軽く目を瞑って浅い眠りにつく。

 眠りにつくと、身体の奥の方から力が湧いてくるような、そんな奇妙な感覚が全身を巡る。それは全能感を覚えるほど強烈なものではないが、自分という存在が膨らんだような、身体が軽くなったような、そんな言葉にするのが難しい感覚。

 眠りが浅いからだろう。ヒヅキは鈍いながらも働く頭で、これはおそらく何かを吸収した影響なのだろうと考える。それ以外に考えられる可能性が無いというのもあるが、何となくそれだと確信があった。

 後はその影響についてだろう。普通に考えれば、現在感じているモノをそのままの解釈で受け取り、単純にヒヅキ自身の能力の底上げなのだろうが、そう上手い話ばかりとも思えないヒヅキは、他にも何か在るのだろうと考えて身体の中を調べていく。

 しかし、やはり浅いとはいえ睡眠中。鈍い思考程度で何かが分かるという訳も無く、ヒヅキは結局何も発見できなかった。なので、起きたら改めて自身の身体を調べてみなければならないと、ヒヅキは頭に刻む。

 そのまま少し経ち、ヒヅキはフォルトゥナが起こすよりも前に目を覚ました。

 目を覚ますと目の前にジッとヒヅキを見詰めているフォルトゥナの顔が在ったが、突然の人の顔に僅かに驚いただけで、ヒヅキは直ぐにそれを流して何事も無かったようにフォルトゥナに話し掛ける。

『おはよう。今女性とクロスはどの辺り?』

 まだフォルトゥナが起こしていないという事は、女性とクロスは広場の近くまで来ていないのだろう。いや、もしかしたらどちらか一方は到着しているのかもしれないが。

 寝起きの挨拶を交わしつつ、フォルトゥナに二人の情報を貰う。それによると、クロスの方はもうすぐ広場に到着しそうな距離であったが、女性の方はまだ少し距離が離れていた。

 ならばまだ僅かに時間が在るようなので、ヒヅキは起き上がると、薄っすらと記憶にあるように自身の身体について調べていく。

 それにより、確かに能力の底上げがなされていたようで、特に内包している魔力量が明らかに上昇していた。それは最早別人と言えるほど。

 身体能力に関してはどれほどかは実際に動かしてみないと何とも言えないが、それでも確実に上昇しているのが分かった。身体の一部が造り替わったのか少し筋量も増えたかもしれない。

 その突然の変化に、理由は解っていても困惑してしまう。ヒヅキは何か身体に異常は無いかと調べてみるが、今のところはおかしなところは無い。それどころか快調そのもの。

 ヒヅキは困惑しながらも、部屋の中で調べても分からないだろうと思い、調べるのを一旦やめた。

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