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旅路101

 光球で照らされた通路は、一人が通る用の通路といった広さ。やや天井が高いが、横幅はヒヅキに丁度いいぐらい。通路には少し傾斜がついているようだ。

 周囲は自然の洞窟をそのまま利用したような感じで、空気はひんやりとしている。道は一本道なのか、しばらく歩いてみても横道のような場所はない。

 ヒヅキは罠を警戒しながら進むが、今のところはそれらしきものは発見していない。ここがフォルトゥナの推測通りに脱出路であるならば、そんな物は必要ないのだろうが。

 しかし、もしも避難の際にここを使って避難したのであれば、脱出後に何かしら仕掛けておくというのも考えられるだろう。もっとも、仮にここを使っていたとしても、別に攻められて脱出した訳ではないようなので、敵を想定してという事ではないのだろうが。その場合、脱出先から侵入されるのを警戒してとなるのかもしれない。

 通路を進みながらそんな事をヒヅキが考えていると。

『ヒヅキ様、こちらに横道が在ります』

 そうフォルトゥナに指摘される。

『横道?』

 そんな場所が在っただろうかと思いながらヒヅキが振り向くと、そこには岩に隠れて非常に分かりにくい位置に狭い通路が在った。

『そんな場所に……』

 影に隠れて見えない位置に在るそれは、光で周囲を照らしながらだと余計に分かりにくいだろう。現に周囲を警戒しながら進んでいたヒヅキは気がつかなかったほどだ。

『よく気がついたね』

 そんな横道に気がついたフォルトゥナにヒヅキが感心してそう零すと、フォルトゥナは照れたような笑みを浮かべる。

『実はそちらの方に魔法道具の気配がしまして。おそらくあの通路の先が宝物庫か保管庫なのではないかと』

『ふむ?』

 フォルトゥナの言葉にヒヅキは通路の先を探ってみるも、よく分からなかった。首を傾げるヒヅキを見たフォルトゥナは状況を察したようで、説明を付け加える。

『どうやらあの通路には感知を妨害する魔法道具が起動しているようです』

『それでよく気がついたね』

『この辺りは慣れですね。感知を妨害するので、慣れてしまえばそれが逆に不自然に感じるので。後は妨害の隙間を縫って調べる技術を習得しているかによっても変わってくるかと』

『なるほど』

 ヒヅキは納得したと頷くも、それでも少し悔しくは感じた。ヒヅキは魔力に対する感度が高いが故に、むしろそういった事が得意分野になってもおかしくは無いのだが、如何せん技術と経験が圧倒的に足りていなかった。現状では敏感過ぎて細かな部分しか分からなかったり、逆に情報が多すぎて役に立っていない。

「………………」

 そんな自分に情けなくもあるが、今でも周囲を調べるぐらいは常に行っている。それで上がるのは分析能力ではなく感知能力だが、それも無駄ではないだろう。そう思うも、やはりこういう時には役に立たないので何とも言えない。

 そこでふとヒヅキは思いつく。目の前に丁度良い教材と教師がいるではないかと。

『フォルトゥナ。他の者達はまだ集まっていない?』

『はい。まだ時間はあるかと』

『そっか。じゃあ、丁度いいからさ、妨害に対する感知の方法を教えてくれない?』

『私に出来ることでしたら何なりと』

 ヒヅキの要請を当然のように快諾するフォルトゥナ。

 それから嬉しそうなフォルトゥナの指導が始まり、妨害魔法の感知方法をかなり丁寧に教わる。そのおかげで、妨害に対する感知の方法は直ぐに修得したものの、その次である妨害をすり抜けて中を感知する方法に苦戦した。

 苦戦といっても、一般的にはかなりの速度で上達しているのだが、それはそれという事なのだろう。

 フォルトゥナに数時間掛けて指導してもらい、ヒヅキはまだ拙いながらも、妨害の感知と妨害をすり抜ける技術を修得した。おかげでヒヅキも感知が妨害されている事と、その妨害されている横道の先に何かが在るのを理解した。

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