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図書館3

 エルフに伝わる終わりの逸話。それらは全て寓話・童話の類いとして纏められて保管されていた。

 纏められていたそれらを全て読み解くと幾つかのパターンが存在している事に気がつく。それでも基本的な流れは同じだった。しかし、結果は2つに分かれる。ただし、結末は1つのみ。

 その物語は、異変の予兆のようなものが起こるところから始まり、その予兆に気づいた一人の人物が異変について調べ始める。そして、遂に元凶である存在を突き止めると、物語の主人公は意を決してその元凶に戦いを挑む。

 1つ目の物語では、奮戦虚しく主人公は元凶に敗れてしまい、そのまま倒れてしまうという話。

 2つ目の物語は、逆に主人公がその元凶を打ち倒すというもの。

 しかし、その後は異変の元凶に辿り着くのが遅すぎたからか、元凶を倒そうが倒すまいと最終的には世界は滅んでしまうのだった。という結末。

(元凶、ね。それに滅び……これの元は何なのか)

 お伽噺や伝説・伝承というものは、調べてみれば往々にして元ネタとなる実話が存在するものである。実話の部分は一部だけかもしれないが、中にはほとんど全てが事実の話もある。

 なればこそ、ヒヅキはこの物語の元ネタが気になった。何故かは分からないが、この物語はスキアを知る助けになるという感じがしたのだ。勘というやつなのかもしれない。

 しかし、記憶を辿ろうとも、今まで読んだ資料にはそんな話は無かったはずだし、この物語が記載されていた資料をどれだけ探そうと、元ネタになったとおぼしき話は全くもって見当たらなかった。

 その結果に、ヒヅキはしょうがないと早々に見つける事を諦める。そして、その疑問を一旦棚上げにしといて、資料の調査を再開する。

 しかし、程なくして夜の帳が降りる時間になったために、その日は諦めてシロッカス邸に帰宅したのだった。



 ヒヅキがエルフに伝わる物語を読んだ翌日からも、ヒヅキの図書館通いは変わらず続いていた。

「おはようございます。今日も精が出ますね。ごゆっくりどうぞ」

 などと受付の女性に言われつつ、いつもの区画に移動して資料を渉猟(しょうりょう)する。

 因みに、受付では青髪の女性以外にも、黄髪と赤髪の二人の女性が日替わりで座っていた日があったので、どうやらその三人がこの図書館の受付を交代で担当しているらしい。

 そんな1ヶ月以上毎日通い続けて気づいた小さな変化もあったが、遂には途方に暮れそうなほどにあった資料も、残り僅かとなっていた。

 それに少しの寂しさと、目当ての資料が見つからない焦燥と諦め、王都でも欲しい情報が手に入らない事への落胆を感じつつ、今日も今日とて残りの資料を確認するためにヒヅキは図書館に通うのだった。

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