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旅路68

 かなり威力を抑えた魔法で軽く魔法の練習をしたヒヅキは、伸びをして気持ちを切り替えると、女性の方もそろそろ終わっただろうかと考えながら休憩場所まで戻る。

 休憩場所に戻ると、直ぐに女性とクロスの姿を見つけた。それから船を停泊させていた方へと視線を向けると、そこに船の姿は無くなっていた。

 何処に持っていったのかと気にはなったが、ヒヅキとしてはそれ以上に魔石や蓄魔石の行方の方が気になるも、道を繋げた後の転移の際にどうするかは女性に全て任せているので、気にはなったが、しかしどうでもいいかと直ぐに思い直す。

 ヒヅキ達が合流すると、それを確認した女性は休憩を終えて整列させる。その後に港町へ向けて移動した。

 港と港町はくっ付いているので、1分と掛からずに港町に到着する。

 町に入ってから家がずらりと並ぶが、こちらは向こう側と違って木造も多い。

(やはりこちらも被害に遭っているな)

 むしろ港町の方が本命だろうが、ヒヅキが手近な家に視線を向けると、扉が少し開いていた。中には扉が壊されている家もあるので、侵入方法が港よりも手荒なようだ。

 ずらりと建ち並ぶ家屋に、やはり数が多いからだろうかと思うも、同一犯とは限らないかとも考える。

 壊された扉から確認出来る室内は何も無い。荒らされてはいるが、元々物がほとんど無かったのだろう。

 扉以外にも、窓や壁が壊されている家もある。しかしよく見ると、どうも腐っていたり、老朽化によるものも混ざっているようだ。この辺りの建物は古いのが多い。

 遠くの方に視線を向けてみると、港から遠ざかるほどに奇麗な家が増えているような気がする。

 ヒヅキ達が歩いているのは大通りなのか、かなり広い。港から真っ直ぐに伸びているので、港から降ろした荷物を運ぶ為なのだろう。

 港から離れてくると、商店っぽい建物が増えてくる。こちらも全て被害に遭っている。確認出来る室内は特に酷く荒らされているので、念入りに調べられたのだろう。中には扉だけではなく壁や屋根を壊された建物や、室内に穴が掘られている建物まであった。もしかしたら隠し金庫みたいな何かがあったのかもしれない。

 広い通りを周囲を眺めながら進んでいると途中で広場があり、中央に横に長い大きな何かの銅像が立っていた。それが見知らぬ生き物に乗って行軍している感じの人達であるのは分かるのだが、それが何かまでは分からない。剣を高々と掲げて勇ましい様子なので、言い伝えか何かの1場面なのかもしれない。

 広場中央に置かれたその大きな銅像を迂回して先へと進む。

『あの銅像は、もしかしたら港から反対側まで真っ直ぐ進ませない為に置いているのかな?』

 銅像を過ぎて先を進んでいると、ヒヅキはふとそんな考えが浮かぶ。

 道は港から反対側の門まで一直線に続いている。もしも途中で銅像が無ければ、ひたすら真っ直ぐ進めばいいだけになるだろう。何かあった時にそれでは危険だと判断して造られたのかもしれない。そう思い、ヒヅキはフォルトゥナに話し掛けてみた。

『おそらくは。港の反対側、この道の終わりは町の門のようですから、そのまま真っ直ぐ進めば門を越えて外に出られるでしょう。それに、この道は門から港へと緩い勾配になっているようなので、荷車が上から転がり落ちてくるかもしれませんし、もしかしたら港から高波が上ってくるかもしれません。少し考えるだけでもそうして幾つか思い当たりますので、利便性を極力損なわないようにしながら考えられたものなのかもしれませんね』

『なるほど』

 少し考えただけで色々と理由が考えられる。その可能性の中には、もしかしたらそこまで深くは考えていないかもしれないというのもあるが、ただの思いつきなので実際の答えなどどうだってよかった。

 そのまま女性に先導されるままに進み、何事もなく門を通過する。当然、門番など居るはずもない。どうやら町には用は無かったようで、町を出た後も女性は真っ直ぐ先へと進んでいく。

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