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ギルド訪問3

 シラユリを呼びにいった女性が戻るまで時間が出来たヒヅキは、手持ち無沙汰からギルドハウス内に目線を巡らせる。

 入り口から入った目の前に受付のようなカウンターが在り、隣に目を向ければ、ギルドの歓談場なのだろうか、広い空間に繋がっていた。その空間の中央には大きな木目調の机がドンと置かれていて、椅子が片側に八脚置かれているのが確認出来る。その大きな机の奥には二階へと続く階段が存在していた。

 そのまま目線を横にずらすと、なんの部屋かは分からないが4つの扉が等間隔で並んでいた。

 ヒヅキは顔を戻すと、先ほど女性が消えていった受付奥の扉に目を動かす。まだ女性が戻ってくるような気配が感じられないので、本当にシラユリが居るのかが疑わしくなってくる。

(居ないなら居ないで手土産の菓子を渡して、シラユリさんに俺が訪ねてきたことを伝えてくれるだけでいいんだけどな)

 無駄足だった様な気がしてきて、どんどん帰りたくなる気持ちが高まってきたヒヅキは、内心でため息混じりにそう愚痴る。

 それから、来客もなく、他のギルドメンバーも姿を見せないままに時間が少し経過して、やっとこさ女性が受付の奥から出てくる。しかし、そこにはシラユリの姿はどこにもなく、女性は一人だけであった。

「申し訳ありません。シラユリさんは仕事の依頼で外出中だったようで、本日は早くても夜までは戻らないとか。いかがなさいますか? こちらで待たれますか?」

 どことなく申し訳なさそうな雰囲気ながらも、至って事務的な声音で女性はヒヅキにそう告げる。

 それにヒヅキは僅かに考える。現在はまだ夕方にもなっていないような時刻とはいえ、帰り道を考慮すれば、陽が暮れるまで待っているなど難しい選択だった。

「そうですか。では、シラユリさんが帰って来られたら、ヒヅキが訪ねてきたとだけ伝えてもらえますか? ああ、それとこれは手土産です。中身は焼き菓子です」

 訪問した事だけを伝えてくれるように頼むと、ヒヅキは思い出したように買ってきた手土産を差し出した。

 女性はそれを丁寧な手つきで受け取ると、しっかりと伝えますと、頭を下げた。

 ヒヅキはそれを確認すると、軽く一礼してギルドハウスを後にする。

 当たり前だが、帰り道は逆順で辿る必要があった為に、少し迷路の路地に苦労した。

 ヒヅキがシロッカス邸に到着出来たのは、空にすっかり藍色が混ざった頃だった。

 シロッカス邸の宛がわれた自室でヒヅキは独り考える。

 今日1日はシラユリの所属するギルドハウスとの往復で過ぎていったが、明日以降はどうしようかと。

 そうしていると、ふとそういえばガーデンの図書館にはまだ寄っていなかったな、と思い出したのだった。

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