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旅路50

 女性の結果次第ではあるが、可能性としてはこのまま神への道が開いて、そのまま神との戦いに突入するという事が考えられる。その前に幾つか練習しておきたい魔法もあったが、長剣に魔法を纏わせた時同様に一応使うことは出来るから問題はない。

 とはいえ、そうなってもいきなり道を開くという訳ではないだろう。道を見つけたとしても、まずは体勢を整えてからになるだろうし。

 フォルトゥナには今代の神との戦いについては道中で何度か話していたが、念の為にもう1度確認してみる事にした。

『もしかしたら、近いうちに今代の神と戦う事になるかもしれないけれど、フォルトゥナは大丈夫か?』

『何処までお役に立てるかは不明ですが、準備は万全です』

『そう? ならいいけれど』

 ヒヅキとしては、神と戦う事に忌避感などないかどうかを訊こうと思っての問いだったのだが、それも今更な問いであった。

 フォルトゥナにとっては、ヒヅキと共に戦うという部分だけが重要なのであって、その他はどうでもいい事なのだから。たとえ相手が知り合いだったとしても、フォルトゥナにとっては一考の余地も存在しない。

 そういう訳で、フォルトゥナの方は問題ないようだ。ヒヅキの方も現状の万全なので、焦る必要も無いだろう。

 そして、もしもここに道が無ければ、次はいよいよ海に出る事になる。ヒヅキは船旅というのをした事がないので、それに関しては楽しみ半分不安半分といったところ。

(船酔いというものが存在するらしいからな)

 ヒヅキの記憶によれば、それは船の揺れに酔ってしまうという事らしい。気分が悪くなるらしいが、症状が酷い時は動く事も出来ないとか。

 そんな恐ろしい状態になってしまったら、いざという時に動けない。海の中は危険が多いらしいのだから。

(巨大生物や獰猛で凶暴な生き物。それに魔物……)

 ヒヅキは海の脅威について記憶を探って思い起こしていく。

 魔物というと直ぐに遺跡が思い当たるが、別に遺跡のみにしか存在しない訳ではない。魔力の濃い場所が条件なので、他にも幾つも魔物の発生場所は存在している。その中でも特に海が最も魔物が多いらしい。

(かなり少なく見積もっても、陸の数倍は魔物が居るだろう。だったか)

 昔読んだ本の中に、筆者のそんな考察が書かれていた。海の中というのはまだまだ謎が多いのだが、どうやら深海には魔力が濃い場所が多いらしいのだ。なので、その本を書いた者はそう推測したのだった。

(まぁそれはいいのだが、問題はあの記述が本当かどうか……)

 その本には、海の魔物の生態について分かっている部分も書かれていた。読んでいるとそこにも憶測が混じっていたようだったが、それによると、まず海の魔物は巨大化する傾向が強いらしい。それは海が広いうえに、地上とは異なり上下にも容易に成長出来るからだとか。地上では上に行くには飛ぶしかないし、下に行くには穴を掘らなければならない。

 他にも、海の魔物は穏やかな気性の魔物も居るのだとか。しかし、地上の魔物は好戦的だ。基本的に襲い掛かってくるか、怯えて逃げるかしかない。まぁ怯えられるには女性ぐらいの強さがなければならないので、実質襲い掛かってくるばかり。

 なので、ヒヅキは穏やかな気性の魔物というのが気になっていた。本には、手を出さなければただ泳いでいるだけだなのだから手を出さないように、という注意書きと共に書いてあった内容だが、実際はどうなのだろうか。

 それと、陸の魔物と違う最大の特徴として、海の魔物は魔力の濃い場所以外にも生息しているという事らしい。確かにそれであれば、最大の特徴となるだろう。なにせ、陸の魔物は濃い魔力の範囲外には出てこないのだから。

 これに関してはまだ分かっていないらしいが、筆者の推測としては、濃い場所の魔力が海水に滲み込んで、その結果として全体的に海の中というのは魔力が濃い場所になっているのではないか、というものだった。実際、海水というのは魔力を多分に含んでいるらしい。特に沖合に出ればそれが顕著になってくるのだとか。

 それを読んで、ヒヅキは興味深いと思った。その頃はまだ魔法なんて身体強化ぐらいしか使えなかった気がするが、それでもワクワクした記憶がある。

 今であれば、それをどう思うだろうか? ふとそんな事を考えたヒヅキは、その事について少し思案を巡らせてみる事にした。

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