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旅路47

 そんなおかしな魔石は、フォルトゥナ曰く人工物らしい。純度の高さを思えばそれも納得出来るが、どうやって製造しているのかはヒヅキには分からない。魔力を集めればいいだけであれば、魔法を使う度に魔石になるだろう。

 そうすると、魔力を固める何かが別に必要という事になる。それは何かと考えるも、直ぐには思いつきそうもなかった。

(魔力を形にするなんて魔法ぐらいしか思いつかないからな)

 魔力を何かしらの形にするとなると真っ先に思い浮かぶのは、やはり魔法である。というよりも他にはない。魔法道具も魔力を流して魔法を行使しているに過ぎない。あれは術者の代行という役割だ。

 なんにせよ、ヒヅキではその魔石が人工物かどうかすら判断がつかない。解るのは高純度の魔石というだけ。

 魔石からフォルトゥナの方へと目を移してみると、フォルトゥナは目の前に蓄魔石を掲げて、目を細めて観察している。あれじゃないこれじゃないと、ブツブツ何かを口にしているが、声音が小さすぎてヒヅキでは何を言っているのか聞き取れなかった。

 その様子に、もうしばらくは掛かりそうだなと判断したヒヅキは、現在の時刻を思い出す。

(そろそろ戻らないとギリギリか?)

 移動と捜索、それに検分までしているのだ。どれも思った以上に時間が掛かっているので、これに更に追加で向こう岸の散策など入れたら、確実に今代の神への道を探している女性よりも遅くなってしまうだろう。ここは有力候補のひとつらしいので、ここに関しては遅刻は避けたいところ。

 そう思うと、残念ながら、やはりこれが終わった後は休憩場所まで戻った方がいいだろう。

 次はこの魔石と蓄魔石をどうするかだ。偽りの器への転移の件もあるが、そうでなくとも魔石と蓄魔石は使いどころが多いので、このまま持っていってもいいが、問題は量。全てが収まる箱が在るとはいえ、確実に荷物になる大きさである。

(フォルトゥナの空間収納に入らないだろうか?)

 周囲に物を入れる空間をつくるというのは、フォルトゥナから教わっているのでヒヅキでも出来るのだが、しかし、フォルトゥナとヒヅキでは収納出来る量が全く違う。

 色々魔法を使う事を考えれば、ヒヅキでは自身の等身ぐらいの空間収納をつくるので精一杯だが、フォルトゥナはその何倍も広い空間を生み出せる。現在はそこに旅の荷物を収納しているらしく、フォルトゥナは荷物をほとんど持ってはいないので非常に身軽だ。

 もっとも、元々それほど荷物を持っていなったはずなので、もしかしたらそこに入るかもしれない。ヒヅキが預けている食料などもそれほど多くはない。

(無理だったら無理で、このまま運べばいいか)

 そうなった時は、判断は女性に任せればいいだろう。偽りの器までの転移用に使用するのか、それとも不要だからと置いていくのかは。もっともその場合は、幾つかは回収しておくが。魔石も蓄魔石もあって困る物でもないので。

 ヒヅキは頭の中でその辺りを考える。魔石も蓄魔石も、魔法や魔法道具の作製など、ヒヅキのやってみたい事に活用出来る。

 フォルトゥナはまだ調べているようで、真剣そのもの。まだ時間もあると思うので、ヒヅキも改めて手元のふたつを見てみるが、あまり実物に触れる機会もなかったので、先程考えた以上の事は分からない。分からないので、手元の魔石と蓄魔石を使って直ぐに何が出来るだろうかと考える方向性を変えてみる。

 やはりまず思いつくのは、魔法道具との組み合わせだろう。基本的に魔石は魔法道具を使用する際の動力源として重宝されているのだから。

 蓄魔石も同じだが、こちらは魔力を充填出来るので、身近な魔法道具に使用される割合が多い。少なくとも使い捨ての魔法道具にはまず使用されないだろう。

(義手は……必要ないな)

 ヒヅキの左腕は肘から先が義手である。それは魔法道具でもあるが、これは左腕に装着している性質上、魔力は常にヒヅキ自身から自動的に供給しているので、別途魔石や蓄魔石は必要ない。

 他に何かと思うも、ヒヅキはそれほど多く魔法道具を所有していない。していても、魔法道具を調べる練習用のガラクタばかり。

(剣も別に要らないしな)

 女性から預かっている長剣も、使用する際にヒヅキが直接魔力を供給しているので必要ない。そう考えれば、手持ちではろくに活用出来そうな魔法道具はなかった。やはりこういうのは、家で使うような壁掛けの魔法道具のように、同じ役割を連続してこなすような類いの魔法道具が相応しいのだろう。

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