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旅路43

 ヒヅキの話を聞いたフォルトゥナは、調べ終えた書類を漁って何かの資料を取り出す。

「これをどうぞ」

 そう言って差し出されたのは、束ねられた数枚の紙束。それを受け取ったヒヅキは、渡された紙束に視線を落とす。

「これは……この辺りの地図?」

 それは、河周辺の様子が大まかながら描かれている地図であった。

「はい。そこの水門から海までの半ばまでを分割して描いた地図のようです。河周辺の建物も描かれていますが、どうやらその描かれている建物は見たところ主に公共の、と言いますか、河の警備関連の建物のようです」

 ヒヅキはフォルトゥナの説明を聞きながら地図を見ていく。

 確かにそこには大きめに描かれた河周辺の地図が何枚にも渡って描かれている。そして、河周辺に線で囲われた建物を表す場所には、記号のようなものが描かれていた。

 それが何を表すのかと、ヒヅキは地図に目を通していくが、それが何を示すのか書かれている紙は無かった。

「これ、何の建物か書かれていないけれど、警備関連の建物ってよく分かったね」

 改めて地図を確認しながら、ヒヅキは感心したようにフォルトゥナにそう告げる。

 その言葉を聞いたフォルトゥナは、驚いたような顔をして書類を漁る。程なくして、フォルトゥナは1枚の紙を取り出してヒヅキに差し出した。

「こちらに記号が何を表しているのか書かれております」

 束から外れていたのか、フォルトゥナから差し出された紙は少し破れていたが、読む分には問題ない。

 その紙には、記号とそれが何を表しているのかがずらりと書かれていた。

 それを上から順に読んでいくと、倉庫とだけ書かれている記号を見つける。その記号を覚えて地図を見てみると、現在地はその倉庫でもあるらしい。整備場の記号も併記されているので、もしかしたらここの何処かに何かが保管されているのかもしれない。

 フォルトゥナにここが倉庫らしい事を伝えた後に、ヒヅキは何かそれらしき場所はなかったかと問い掛けてみる。そうすると。

「ここの地下ではないでしょうか?」

 ヒヅキの問いに、フォルトゥナは足下を指差す。

「地下?」

 フォルトゥナの言葉に首を傾げながらも、ヒヅキは地下へと意識を向けてみる。探知魔法を使用すればその辺りは一応解るが、地面が魔法を阻害してしまい、あまり深くまで調べるのは難しい。それでも下に空洞があるかどうか程度は直ぐに分かった。

 それによると、部屋の真下に部屋よりは小さい空洞が在るようだ。正確な広さはまでは不明だが、おそらくそこまで深くには無いだろう。

「確かに地下が在るね」

 入り口は何処だろうかとヒヅキは周囲に顔を向ける。

「そこの棚の上から3段目、左端から2番目の本が地下室を開く為の起動装置のようですよ」

 ヒヅキが何を探しているのか察したフォルトゥナは、少し離れたところに在る棚を指差して説明する。

「起動装置の場所も既に把握しているのか」

 フォルトゥナは相変わらずの優秀さであった。起動装置が在ると知ってから探して、それでやっと見つける事が出来た自分とは違うなとヒヅキは思う。

 ここに地下が在るというのも、フォルトゥナに指摘されたから見つけられたに過ぎない。

 その結果に、探知系にもう少し力を入れた方がいいのだろうかとヒヅキは思うも、未だに感知系が苦手なヒヅキでは中々そこまで手が回らない。かといって、他と同時進行で出来るほど器用でもなかった。

 仮に両方を伸ばすにしろ、どちらかに重点を置かなければならないだろう。そうなると、やはり奇襲に備えて感知系の魔法を伸ばす事になりそうだ。

 ままならない。そうは思うも、自身の能力が足りていないのだからしょうがない。その事を嘆くよりも、今は覚束なくとも進むしかないのだから。

「地下への入り口は何処に在るの?」

 教えられた棚に近づいたヒヅキは、起動装置を起動させる前にフォルトゥナに確認を取る。突然足下の床が開くなんて事はないだろうが、それでも用心しておいた方がいいだろう。

「向こう側の部屋の隅の床ですね。1番奥の棚だけ壁に張り付くように固定されていたので分かりやすいかと」

 ヒヅキが入ってきた方向を指差すフォルトゥナ。調べたとはいえよく分かったなと思いながら、ヒヅキは了承したとばかりに頷いて、起動装置に触れて魔力を送った。

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