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旅路2

 この美しい剣に光の魔法を纏わせる。それが声の主が言っていた方法だが、ヒヅキはどうやればいいのかと考える。やり方は普通の魔法の時と同じでいいのだろうかと。

 普通の魔法だと、魔力で魔法を構築し、それを現出させずに剣に纏わせるという方法である。こうする事で、属性を剣に付与することが出来る。ただ魔力を纏わせるだけという方法もあるが、そちらは少し剣としての特性が強化されるだけ。

 もしも普通の魔法の時と同じでいいのであれば、光の魔法には光の剣という魔法が在るので、比較的簡単そうであった。剣と同じ形に光の剣の外殻を構築すれば、後はそれと剣を重ねるだけでいいのだから。

 もっとも、今それをやるつもりはない。周囲には休憩している英雄達が居るし、現在居る場所の周辺には遮る物が何も無い。あまり手の内を見せたくないというのもあるが、それ以上に一応新しい魔法でもあるので、少なくともここで練習するのであれば、厚い雲に空が覆われている時が望ましいだろう。

 それに今回の休憩時間は然程長くは無い。というのも、英雄達も大分肉体に慣れたようで、まだ不調そうな者も若干覇気がないような気がする程度。なので、おそらくこれから先はヒヅキが言わない限りはほとんどが短い休憩になるだろう。それと回数も減りそうだ。

(まぁ、ここじゃ場所が悪いからな)

 むしろ今はその方が都合がいいかと思い、ヒヅキは剣を仕舞う。その前に試しに軽く魔力を流してみたところ抵抗なく剣全体に行き渡ったので、ヒヅキとの相性はよさそうであった。

 ヒヅキが剣を片付けて一息ついたところで休憩が終わる。全員が揃ったところで、今度は山に向けて歩き出す。最初に予定していた日数から大幅に遅れているが、元々期限付きではなかったのでそれはどうでもいいのだろう。

 移動しながらヒヅキが視線を遠くの方へと向けると、離れたところに山が連なって聳えている。しかし、神殿に向かった時に見た崖を思い出すと、それも何だか大して高くはない気がしてくる。

 女性が目指している山もそのどれかだろう。道のようなモノは確認出来ないので、人の往来は少ないのだろう。

(まぁ、場所が場所だしな)

 元々周囲には村も町も無かった。崖の在った近くには龍人の集落が在ったらしいが、それも既に消えている。という事は、現在はこの辺りには誰も住んでいないという可能性だってある。

 見たところ山の傾斜はきついが、急というほどではない。少なくとも足だけで登れそうではある。

 ところどころに木が密集して生えているが、動物の姿は今のところ見ていない。鳥のさえずりも聞こえないし、先程までいた森は例外だとしても、既にこの世界は死に体なのかもしれない。

 暗くなっても女性は足を止める事なく進んでいく。移動速度も上がっているが、それでもまだ英雄達を復活させる前よりも遅い。なので疲れるほどではない。

 日が昇っても一行は移動し続け、昼前には山の麓に到着する。近くで見ると大きな山ではあるが、それでも崖の大きさには遠く及ばない。上も左右も延々と続いていた崖と比べるのは流石に酷ではあるが。

 麓で一旦休憩した後、一行は入山する。

 ゴツゴツした岩場の中、道なき道を進んでいく。こういった道も通った事があるので、ヒヅキとしてはそこまできつくはなかったが、英雄達の中には少々疲れたような顔をする者も居る。まぁ、英雄達は疲れるというよりも弱ったといった方がいいのかもしれないが。

 元々肉体を失った魂だけの存在なので、動くと魂が消耗してしまうらしい。普通の人で言うところの体力のようなものなので、ジッと動かなければ修復出来るらしいが、それでも油断は禁物だろう。もっとも体力として考えれば、かなり体力がある事になるので、そこまで心配する必要ようはないのだが。女性はそういったところにも気を配っているだろうし。

 黙々と山を登り、中腹辺りまで到着したところで、女性が一旦休憩を告げる。少し離れた場所に木々が生い茂っているのが見えるが、静かなものだ。

 警戒し過ぎただろうかと思ったが、ヒヅキが木々の方を注意深く観察していると、生い茂る木々の浅い部分に立つ1本の木の裏に誰かが居るような気がした。

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