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偽りの器21

 神を斃す。それについてヒヅキはもうそこまで熱心ではないのだが、それでも黙ってやられるというのも面白くない。であればどうするか、それは今でも女性に同行している時点で決まっていた。

 そのうえで、夢の中の話には女性の協力が必須だというのも理解している。そもそも現在探している神へと至る道の場所は女性でなければ発見出来ないだろう。

(そうだな……)

 ヒヅキは考えてみるも、上手い言い方が思い浮かばない。やはりどうしても夢の中の話というのが胡散臭すぎてしょうがない。

 周囲を見回してみると、今までで最長の休憩時間だからか少々弛んでいる。休憩時間なのでそれが正しいと言えば正しいのだろうが。

 その様子を見て、そう時間もないかと判断したヒヅキは、起きた事の報告もあるので、上手い言い方も思いつかないままに女性の許に移動する。

「おや、もうよいのですか?」

 近づいてきたヒヅキを確認した女性が気遣うように問い掛けると、ヒヅキは「おかげさまで」 と頭を下げた。

「では、そろそろ移動を再開させましょうか」

「あ、その前に話をしてもいいですか?」

「何でしょうか?」

「実は――」

 結局上手い言い方が思いつかなかったヒヅキは、そのまま女性に説明していく。

 夢の中で男の声がして会話をしたこと。その時に神殿で知った神について質問してみたこと。それで知った神の秘密や弱体化の方法について、ヒヅキは隠すことなくそのまま話していく。その話を女性は終始真剣な表情のまま耳を傾けていった。

 そうしてヒヅキの話が終わると。

「大変興味深い話をありがとうございます。とても参考になりました」

 今までヒヅキが見た事もないほどに真剣な表情で頭を下げた女性は、頭を戻すと顎に手を当てて思案を始める。その姿は声を掛けるのを躊躇するほどに真剣で、ヒヅキの話を疑っている様子は微塵も感じられない。

 話を終えたヒヅキは、もう離れてもいいだろうかと思うのだが、女性の真剣な様子に何とも言えずにその場に留まる。

 それから程なくして、女性は思考の海から浮上したのかヒヅキの方へと視線を向けると、驚いたように目を僅かに開く。

「ああ、すみません。考え事に集中していました」

「いえ、役に立てたのでしたらよかったです」

「大変助かりました。それで今回の話を参考に、まずは器への道を探してみようかと」

「確かに話を聞いた限りだとこの近くだとは思いますが、他に手掛かりがないので、ここからどの方角かも分かりませんよ?」

「ああ、それなら大丈夫ですよ。器は力を発しているという事でしたので、周囲に満ちている力の元へと辿れば到着出来るでしょう」

「そんな事が可能なのですか?」

「流れを読めばヒヅキでも可能ですよ。むしろヒヅキならこれぐらいは直ぐにでも修得出来るかと」

「だといいのですが」

 ヒヅキの返答に、女性は目を向けたまま思案するように僅かに首を傾げる。それから少しして、女性は口を開いた。

「……ヒヅキは魔力の流れを読んだ事は?」

「周辺を探る時などに行っているのがそれであれば、やった事はあります」

「そうですね。あれも流れを読む事に違いありませんね。では、流れを追った事は?」

「無い、かと」

 記憶を探るように目を動かしながら、ヒヅキは答える。もしかしたら、そうとは知らずにやっていたかもしれないが、少なくともヒヅキの記憶の中ではそんな事をした覚えがなかった。

「そうですか。では、周囲に意識を向けてみてはどうでしょうか? ここは魔力の流れが比較的読みやすいようなので」

「えっと……」

 女性の言葉を受けて、ヒヅキはとりあえず周囲へと意識を向けてみる。魔力については直ぐに感じることが出来るので、後はその流れというやつだけだ。

 しかし、女性の説明だけでは少々理解が追いつかなかったようで、ヒヅキは首を傾げる。どうやら魔力には濃淡があるようだが、結局解ったのはそれだけだった。

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