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偽りの器17

『ふむ。可能性か』

 ヒヅキの話を聞いた声の主は考えているのか、そう呟いたきり沈黙してしまう。

 いつ目が覚めるのかはヒヅキ自身にも分からないので多少焦りはするものの、答えを急いたところで意味はないだろうと思い、声の主が喋り出すのを静かに待った。

 それから少ししたところで、声の主が話し出す。

『当然ながら真意については不明ではあるが、おそらく君の成長について言っているのだろう。それと、光の魔法についてか』

(成長については分かりますが、それでもあの神に届くとは思えないのですが)

『そうだね。どう頑張ったところで人では到達できないだろうさ』

(では、成長はただ期待させるためだと?)

『んー、身体能力を上げるよりも、魔法の扱いに長けるようにとか、新しい魔法を覚えるようにとか、そういった意味合いの成長じゃないかな?』

(なるほど。しかし、それでも神には及びませんよね?)

『そうだね。そこで光の魔法の技術力の向上という事だろうさ』

(光の魔法の技術力ですか?)

 声の主の言葉に、ヒヅキは考えるように首を傾げる。他の魔法同様に魔法効率を良くすればいいのだろうかと思いながら。

『以前にも言ったと思うけれど、君のそれは正確には光の魔法ではない。君の想像力次第で大いに化ける魔法だ。だが、その分扱いが非常に難しい。正直一部とはいえ扱えているのが奇跡のように』

 それについては以前にも似たような事を言われたので、ヒヅキは黙って頷く。消費する魔力量もかなりのモノなので、普通はヒヅキも扱えるようなものではない。何も工夫を施さなければ、光の剣を一瞬出すだけでもヒヅキの命は尽きるだろう。

 そのうえで、まだ先がある。いや、まだ入り口にすら立っていないといった事を言われても困惑しかなかった。

『なので、相手が何処まで把握しているのかに依るが、もしかしたらその可能性について示唆したのかもしれない』

(なるほど。それで、どうやれば光の魔法以外にも使用出来るようになるのですか?)

『うーん……説明が難しい。目指す力を頭に思い浮かべて魔法を行使するのだが、そもそも起点となる部分を理解していなければならないからな』

 余程難しいのか、考え込むような声音でそう告げる声の主。ヒヅキも起点となる部分など皆目見当もつかないので、声の主が悩むのも理解出来た。

『そもそも起点の部分からして感覚で何となく把握するところから始めるものであったし……』

 何やら自分の世界に入っていく声の主に、ヒヅキは声を掛けるべきかどうか悩む。このまま独り言を訊いているだけでも為になりそうではあるが、いつまでここに居られるかも不明なので、ずっと聞いているという訳にもいかない。ついでにもうひとつ訊いてみたい事もあったので、余計に放置も出来ないだろう。

(……あの、もうひとつ尋ねたい事があるのですが)

 悩んだ末に、ヒヅキは声の主に戻って来てもらう事にする。

 現在は眠っているので目を瞑っているはずなので、この場所からは外の世界の様子は分からない。なので、今が何時なのかは分からなかった。

 ヒヅキの声掛けで声の主は我に返ったようで、『ああ、すまない』 と謝る。

『それで、何を訊きたいんだい?』

(先程の話の続きになるのですが――)

 それからヒヅキは、女性から聞いた今代の神の謎について話していく。一定のはずの力の総量をどうやってか上回って力を付けているというやつだ。

 それを聞き終えた声の主は、『ふむ』 と小さく漏らして再度考えこむように沈黙する。

 声の主が考えを纏めるまで待つと、程なくして声の主が『あくまで推論だが』 と前置いてから話し出した。

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