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英雄達77

 そういった要素を頭に思い浮かべたヒヅキは、やはりこれからも魔法道具を作製するのであれば、補助魔法の方がいいだろうかと思案する。だが、防御魔法も捨てがたいなとも同時に思った。

(その辺りは追々考えていけばいいか)

 今は単純に暇つぶしとして考えているだけなので、そこまで深く考える必要はない。なので、ヒヅキはお遊びとしてどんな魔法を組み込んだら便利だろうかと思案してみる。

 まずは組み込む装飾品の大きさを無視して、ヒヅキがこれがあれば便利だなと思う魔法について頭の中に思い浮かべていく。空想の類いなので、ヒヅキが知る実際に存在している魔法以外にも、こんな感じの魔法があればいいなという魔法も考えてみる。

 そうして空想していると、次第に内容がとても都合がいい魔法の数々へと変わっていってしまう。

 しばらく考えたところでそれに気がついたヒヅキは、小さく苦笑してしまった。

(しかし、そういった魔法が本当にあればな……)

 中には本当に存在している魔法もあるかもしれない。しかしそれはそれとして、ふとそんな事を思った。それは子どもの妄想というやつだろう。ヒヅキは自分でもそう思うのだが、やっと普通に魔法が使えるようになったので、そんな魔法も使えればな、と憧れを持った。

 もっとも、だからといって自分でその魔法を創ってみよう! なんて突飛な発想には至らない。魔法の創造がどれだけ大変か、その一端を魔法史というものを少し読んだ事があるヒヅキは知っていた。あれはそもそも深い魔法の知識を持った者が研鑽の末に行う魔法の極致、そのひとつである。

 なので、普通の魔法すら未だに理解出来ていないヒヅキでは、到底及ばない境地。まぁ、そこまで至ろうとまではヒヅキも考えていないのだが。

(そんな事よりも)

 自身の妄想を頭の中から追い払ったヒヅキは、まだまだ続く階段の先を見詰めた後、魔法の効率化について考えてみる。とりあえずよく使いそうな攻撃系の魔法から。

 ヒヅキが行使出来るのはどれも初歩の魔法。つまりは構成があまり複雑ではないので、初心者としてはいい教材であった。

 頭の中でそんな事をヒヅキが思案していると、女性が短い休憩を取る事を告げる。

 休憩しながら、今日で何日目だろうか? そんな疑問は既にヒヅキは抱かない。知ったところで意味が無いから。

(記録に残すとか、誰かに伝えるとかする訳でもないからな)

 もう1度この地を訪れるとも思えないし、仮に訪れたとしても道順さえ知っていれば問題ないだろう。

 短い休憩を終えて、階段を下りていくのを再開する。

 ヒヅキは休憩中に英雄達の方を窺ってみたが、身体がまだ馴染まないようで不調そうな者が居たぐらいで、疲れている様子の者は誰一人として居なかった。

「この階段は何処まで続いているのですか?」

 そうクロスがヒヅキに問い掛けてくる。休憩時間に近寄ってきたクロスだが、休憩を終えてもヒヅキの近くを離れなかった。

 隊列は大丈夫なのだろうか? とヒヅキは一瞬思ったが、隊列の細かな順番についてはまだ何も決めていなかった。女性も後ろから付いてくるようにと言ってヒヅキを英雄達の前に行かせたぐらいで、今でもこれといった指示は出していない。

 ならば問題ないかと一人納得すると、ヒヅキはクロスの疑問にどう答えたものかと思案する。

「もう結構進んでいますから、数日中には到着するかと」

 同じ場所であれば、一瞬そう思ったヒヅキだが、行きの時も今も道は1本だけだ。何か忘れているような気もするが、とにかく、数日中といったところだろう。

 それをヒヅキはクロスに答えると、クロスは「ふーん?」 と何かを考えているような雰囲気で素っ気ない答えを返した。

 クロスは何かを考えるようにしながらも、ヒヅキの後ろを付いてくる。

 目的地は同じなのでそれについては問題ないが、それでも近くに何かを考えながら黙したままのクロスが居るというのは、ヒヅキには何だかとても窮屈に思えた。

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