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英雄達52

「神は最強の存在だと聞きましたが、そんな神に勝てるものなのですか?」

「こうして実際に神を倒した存在が居る以上、それは可能だという事だよ」

「どうやって神を上回る力を手に入れたのですか? 単独で倒したらしいですが」

「なに、自分の可能性を伸ばしただけだよ」

「自分の可能性ですか?」

「ああ」

「それは一体?」

「はは。努力すれば強くなる、そういうのは可能性を伸ばしているという事だよ。君にもあるだろうさ」

 にぃと相手を挑発するような笑みを浮かべながら軽い調子でそう答える神は、どうやら女性の予想通りにまともに答えてくれる気は無いようだった。しかし、ヒヅキには最後の言葉が妙に引っかかって頭に響く。

(そのままの意味で捉えれば、可能性とは伸び代とでも呼ぶべきモノだろう。だが、わざわざ最後に君にもなんて付け加える必要は全く無い。であれば、そこに何かしら意味があるのだろうか?)

 それは意味があるとも無いとも言えない部分。なんとなく気になったというだけであるので、気にするだけ無駄かもしれない。だが、ヒヅキは何故だかそこが気になってしょうがなかった。

(………………もしかしたら、精神に干渉でもされたのだろうか?)

 女性に説明を受けたのを思い出し、そういえばこの神は人を操ることが出来たのだったなと思い出したヒヅキはそう考えるも、しかし、だからといって言葉の一部を気にさせることに何の意味があるというのか。

(この神なら無意味にそんな事をするかもしれないが、もしかしたら俺だけに解るようにしたという可能性もある)

 何故そうしたのかはヒヅキには分からない。だが、今のところ情報も無いので、そこを気にするのも意味があると言えば意味があるのだろう。

 そう考えたところで、それについて考えてみることにした。だが、それはそれとして、せっかくの機会なので会話は継続させる。

「貴方の本体はこの世界に居られないと聞きましたが、貴方の本体は現在何処に居るのですか?」

「別の世界さ。と言っても、そこは他に何も無いので別の世界というよりは隔離空間と呼んだ方が正しいのかもしれないが」

「隔離空間ですか?」

「そうだよ。そこにはこの身を閉じ込めているだけで何も無いからね。ああ、でも安心してくれ」

 そこで一旦言葉を切った神は、とても楽しそうに笑みを深める。

「君達がやって来るというのならば、しっかりと場を整えて歓迎するので、辿り着けないという事にはならないよ」

 にこにこと嬉しそうに楽しそうに笑うその姿は、傍から見れば幼子のようだ。しかし、醸し出している雰囲気がどうにも邪悪に思えてしょうがない。

「場を整えるとは?」

「例えばこの部屋。君達が辿り着けたのであれば、何も無いあの場所にこういった場所を構築しようという事さ。でなければ君達が戦えないだろう?」

「…………なるほど。それは確かにそうですね」

 交渉という余地さえなくそう断言される。もっとも、最初からヒヅキ達も交渉などしようとは思ってはいないが。

 それにしても、とヒヅキは思う。分かっていた事ではあるのだが、それにしてもこうも上から言われると、その差を否応なく教えられるように感じられた。

 とはいえ、それを感じているのはヒヅキだけのようで、女性は神のその言葉を鼻で笑うように言葉を返す。

「であれば、貴方の最期に相応しい場所を用意していてくださいね」

 そんな女性に、神も楽しげに笑って「そうしよう」 と続けた。ついでに「誰にとってもね」 とも付け加えていたが。

 二人でそんな応報を済ませた後、神はもう一度楽しそうに笑ってから一瞬で消える。消える直前、今回この場所に来た目的である装置の修復については済ませてある事を改めて告げたのだった。

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